2019年度からの新たな取り組みとして始まった、NPO法人Social Salonコラボして、社会課題について身近に知り、感じ、考えるイベント、”Social Salon in IVUSA”。
第3回となる6月のテーマは、“障害”。自らも視覚障害の当事者であるゲストスピーカー・畝本 彩美(あぜもと あやみ)さんのお話をお聞き、また、「障害平等研修」を受けながら、“障害”を取り巻く社会の現状や課題と共に、自分自身との繋がりや関わりについて考えました。
Social Salon in IVUSAvol.003レポート
今回は6月23日に行われました。7名の学生、11名の社会人が参加しました。 参加者全員の自己紹介の後始まった、ゲストスピーカー畝本さんのお話。
畝本さんは、現在エアライン系の商社にて働きながら、パラリンピックの種目にもなっている“ブラインドサッカー”のチームのサポーターや、障害当事者がファシリテーターとなり、“障害とは何か”を学び考える機会を作る、「障害平等研修」のファシリテーターなどの活動をされています。
ご自身の自己紹介の後、先天性視覚障害(弱視・全色盲)を持って生まれた畝本さんのこれまでの人生の歩みや、自身の価値観を変えるきっかけとなった出来事、また、それらを経て今、人生で大切にされていることなどをお聞きしました。
障害平等研修(DET)をやってみた
次に行われたのが、「障害平等研修(Disability Equality Training : DET)」。
畝本さんは、DETの認定ファシリテーターとしてご活動もされています。
障害平等研修(DET)は、「障害者の社会参加や多様性に基づいた共生社会を創ることを目的として、障害者自身がファシリテーターとなって進めるワークショップ型の研修」です。(障害平等研修フォーラムHP「障害平等研修とは」より抜粋)
▼詳しくはこちら(障害平等研修フォーラムHP)
ファシリテーター養成研修を受講・修了された様々な障害当事者の方が進行をする形のワークショップで、絵を見たり、動画を見たり、グループに分かれて対話を繰り返したりしながら、「障害」とはどこにあるのか?「障害」とは何か?を考えていきます。
それぞれひとりひとりが考えた、「障害とは?」。
改めてその問いに向き合った答えを、グループに分かれてシェアする中で、様々な視点や角度が飛び交いました。「これまで“障害”について考えたことがあまりなかった」「考えれば考えるほどよく分からなくなった」などの声も。答えはひとつではないからこそ、一人一人がその問いに真剣に向き合って考えながら、グループでの対話に繫がっていく様子がとても印象的でした。
DETの最後には、「障害とは?」と言う問いに対するひとつの答えとして、2001年、国際連合総会にて採択された「障害者の権利に関する条約(略称:障害者権利条約)」の条文が紹介されました。
▷障害者の権利に関する条約(略称:障害者権利条約)
前文(e)
障害が、機能障害を有する者とこれらの者に対する態度及び環境による障壁との間の相互作用であって、これらの者が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げるものによって生ずることを認め、
その中でも、
障害が、“機能障害を持つ人々”と、その人々に対する態度や環境によって生じてしまう“障壁“との間に起きる相互作用である
という概念は、自分たちが「障害」という言葉を想像したり使用したりする際のイメージと、改めて向き合うきっかけとなりました。
「障害者の権利に関する条約」の全文が気になる方は、こちらの外務省ホームページよりご覧いただけます。
私たち一人ひとりが出来ることは、何か?
DETが終わった後、最後に、グループに分かれての対話の時間を持ちました。
今日の感想や気づきに加え、「どんな社会で在れば良いと思うか?」「そのために、自分はどんなことが出来そうか?」について、話し合いました。社会人も学生も、IVUSA会員もそうでない人も、様々な人が混ざり合う場で、答えがすぐには出ない問いに対してそれぞれが向き合い、言葉を吟味しながら、悶々としながらもあたたかい雰囲気の場となりました。
「いろんな人が“いる”と言う認識が出来る社会」
「負担を分かち合える社会。困っている人助けるの“普通”!と言う雰囲気」
「みんなで考えて、行動まで移せる社会」
など、それぞれが考えた、“理想の社会”が出てきました。
自分自身が出来そうなこととしては、 「健常者、障害者関係なく、互いを“知ってゆく”こと」「共に暮らすこと」「困っている人がいたら声をかける!マンパワーを発揮する!」「選択肢を増やせる様にする」などの声が。
現実として、社会では2016年に相模原障害者施設殺傷事件の様な痛ましい事件が起きているなど、綺麗事だけでは片付かない部分も、たくさんあるでしょう。
しかし、そんな中でも、「私たち一人ひとりが出来ることは、何か?」を一人一人が考え続け、知り続け、行動し続けることが、少しずつでも、“よりよい社会“へ繋がってゆくのではないでしょうか。
様々な立場や状況の人がいることを知ること、社会の制度や法律、それにまつわる経緯などの知識を知ること、実際行動してみることetc…出来ることは、いろいろありそうです。
「障害とは何か?」
「どんな社会になったらいいか?」
「自分には、何が出来るか?」
答えはひとつではなく、すぐに出るものではないからこそ、考え続けて行きたいし、考えたことを分かち合う場と時間が必要だと思っています。
私たちが生きている“社会”を創る、様々な要素について考える“きっかけ”を。
すぐには答えの出ない問いを、考え続ける、もやもやと楽しさを。
そんなことを様々な人と共有できる場を、開き続けてゆきたいと思っています。
本イベントは、IVUSA会員だけでなく、外部の方の参加も受け付けています。 学生と社会人がIVUSAの理念でもある、”共に生きる社会”に向けて対話を行う機会でもある、Social Salon in IVUSA。
これからも月に一度開催して行きますので、ご興味をお持ちの方、是非ご参加ご検討ください。
この記事を書いた人
湯田 舞
IVUSA非常勤スタッフ(2018年10月より)
IVUSAでは、フィリピンツアー通訳兼コーディネーター/減災プログラム化/社会課題を自分ゴトとして考える場”Social Salon in IVUSA”をやっています。IVUSAのOGではなく、大学時代は少林寺拳法ばっかりやってました。宜しくお願いします。
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