前回に引き続き、「マネジメントの基本のき」後編をやるつもりでしたが、後編は1月にすることにして、今回は会議運営のノウハウについて考えてみたいと思います。
IVUSAの運営メンバーに話を聞くと、「会議が多い、長い、遅い」といった不満をよく聞きます。昔に比べ、SkypeやLINE通話を使ってオンラインで会議をすることが可能になったので、特に会議の数が飛躍的に増えました。
しかし、会議の数や時間の長さに比例して成果があがっているかというと、残念ながらかえって会議時間と成果が反比例しているような印象さえあります。夜中から始まった会議で、一人また一人と寝落ちしていき、「そして誰もいなくなった」状態になった経験がある人もいるでしょう。
そこで、今回は会議を円滑に進め、成果を挙げるポイントについて説明していきます。会議のやり方についての本はたくさん出ていますし、ネットでも読むことができますが、今回は、もはや古典とも言える『会議が絶対うまくいく法』(マイケル・ドイル、デイヴィッド・ストラウス著 日本経済新聞社)の内容を紹介していきます。
もともとは1970年代の本なのですが、この原稿を書くために改めて読み直してみて、ツールやデバイスが進歩しても本質は変わらないと思いました。
会議は「みんなで集まって、話し合う」ということなので、何か特別なスキルやノウハウがなくても最低限のコミュニケーション研修能力があればできると思いがちです。しかし…
毎週いやというほど会議に出席していても、たいていの人は、会議を運営する、あるいは会議に出席するためのきちんとした訓練を受けていない。新入社員は会議に出席するようになると、まわりの人の行動を真似ながら徐々にやり方を身につけていく。まわりの人もたちもそうやってきたはずだ。一つの世代がその前の世代のやることを見て、疑問を抱くことなく次の世代に伝えていく。これでは進歩がない。(19頁)
上級生は思い当たる節があるのではないでしょうか…?
ここで、本書で書かれている「会議のルール」を以下に紹介していきます。ぜひ自分たちの会議のアップデートするための参考にしてみてください。
■会議を成功させる5つの原則
1.一つの議題にみんなが集中していること
2.一つの議事運営方法にみんなが同意していること
3.誰かが責任をもって、オープンでバランスのとれた発言が交換できるように努力していること
4.誰かが個人攻撃を受けたら、その人を守る役割の人がいること
5.会議におけるそれぞれの役割が明確になっていて、誰もがそれに同意していること
■会議の4つの役割
会議に参加する人の役割は、「マネージャー」「ファシリテーター」「メンバー」「書記」の4つに分けられます。それぞれの役割を説明していきます。
1.マネージャー
会議の中で一番地位が高い人。会議の主宰者。重要なのは、「マネージャーは議事進行をしてはならない」というルール。マネージャーは会議で発言し、決定を下す責任は持つが、議事進行の役割は他の人間に任せる。
2.ファシリテーター
議事進行係。会議の出席者(マネージャーとメンバー)が効率的に討議し、課題を達成するために議事進行を円滑にする。「ファシリテーターは中立的な立場を守る」がルール。ファシリテーターは自分の意見を主張したり、ほかの人の発言を批判したりしてはならない。
また、発言した人が個人攻撃されないように注意し、誰か一人が発言を独り占めしないように気を付ける。逆に発言が出てこなかったら、誰かを指名して発言させ会議を活性化させる。
3.書記
議事録を作成する人ではない(もちろん議事録を作成してもいいが)。壁に大きな紙を貼り付けて、その紙に発言のポイントを、発言者が使った言葉をそのまま用いて記録していく「会議メモ」を作成する。ファシリテーターとともに会議の要であり、中立性が求められる。
4.メンバー
会議の監視役。ファシリテーターや書記が中立の立場を逸脱していたら(特定の意見の肩を持ったり、あるアイデアを批判したり、特定の人に発言させなかったり…)、チェックする。場合によってはファシリテーターを交代させる。
会議はメンバーのものであって、会議を成功させる責任は、ファシリテーターではなくメンバーが持っている。
■会議を改善するための18のコツ
<会議の前に>
1.慎重に計画を立てる―誰と、何を、いつ、どこで会議するのか。なぜ会議を持つのか。何人呼ぶか。
2.事前に会議開催通知を配付しておく。
3.早めに会議室に入り、準備をととのえる。
<会議を始めるにあたり>
4.定刻どおりに開始する。
5.出席者に自己紹介してもらい、会議に何を期待するのか発表してもらう。
6.役割を明確にきめておく。
7.議案を見直し、手を加え、整理する。
8.時間制限をつける。
9.前回の会議で決めた「やるべきこと」のリストをチェックする。
<会議の間>
10.一度に、一つの問題だけをみんなが同じ方法で討議するように焦点を絞る。
<会議終了時に注意すること>
11.誰が、何を、いつまでに、を明確にして「やるべきこと」のリストを作成する。
12.会議メモを見直す。
13.次回会議の日時と場所を決め、仮議題を決めておく。
14.会議がうまく進められたかどうか、評価する。
15.簡潔に、ポジティブな態度で閉会を宣する。
16.会議室を整理整頓する。
<会議の後で>
17.会議サマリーを作成する。
18.「やるべきこと」のリストに従って行動し、次の行動の計画にとりかかる。
会議の運営力は、IVUSAはもちろん、大学のゼミ活動や就職活動、社会に出てからも必要になってきます。ぜひ、今回のコラムを行動をヒントにしてみてください。
この記事を書いた人
事務局長 伊藤 章
IVUSAの中では管理業務一般と、広報や社会理解学習のプログラム作りをする係。最近は、海ゴミ問題のキャンペーン「Youth for the Blue」も担当
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