マネジメントの基本のき① 企画のマネジメントの段取り



皆さん、コミュニケーション研修(昔のマネジメント研修)で「企画のマネジメントの段取り」について学んだと思いますが、覚えていますか?  


「研修で学んだことと、プロジェクトやクラブの運営の実務が繋がらない」ということをよく聞きますが、その理由は以下のようなものが考えられます。 


①そもそも研修で学んだことを覚えていない 

②研修で学んだことを実践していない 

③研修で学んだことを実践したが、役に立たなかった  


私見ですが、おそらく②の人が多いんじゃないでしょうか。


そこでスキルアップ講座の第一弾は、プロジェクトやクラブを運営(マネジメント)する上で何を注意しないといけないかを、「企画のマネジメントの段取り」に沿って説明していきます。あわせて一般的なマネジメントの手法との共通点と違いも解説します。 


■目的と達成要件の明確化

一言で言うと目的は「何のためにやるか」を、達成要件は「どこまでやるか」を定義するものです。目的は言葉で、達成要件は数字で表現されます。 


目的は、社会にどのようなインパクトを与えたいのかという対外的なものと、その隊としてどのような状態になっていたいのかという対内的(体内と書く人がいますがこれは間違い)なものに分けて定義するといいでしょう。 


また、よく達成要件で「隊員の成長」を挙げる場合がありますが、これは達成要件とは言えません。例えば、「参加した隊員のうち、メンバー会員の何%をスタッフ会員に昇格させる」となると、達成されたかどうか測定可能(Measurable)であるため達成要件と言えます。


達成要件のことを世の中では「KPI(Key Performance Indicator)」と言ったりします。「このプロジェクトのKPIをまず決めよう」と言うと、ちょっと「意識高い系」と見られるかもしれません。ちなみにKPIよりも長期にわたる目標を「KGI(Key Goal Indicator)」と言います。 



■考えて欲しい「5つの質問」

さて、私たちは何かの企画(プロジェクトやイベント)をするときに、「何をするか」「いつ、どこでやるか」「誰が担当するか」から考えがちです。もちろん、現実的にはそこが決まらないとそもそも企画自体がスタートしないということもありますが、早い段階で運営するコアメンバーが目的と達成要件を議論・決定・共有(言語化)していくことが必要です。  


ここが曖昧だと、企画で「AとBのどちらをするか」と決めるときに判断基準に迷ったり、運営メンバーが「何のためにやっているのか分からない」とモチベーションをさげたりすることになります。  最後に「マネジメントの神様」と言われたP・F・ドラッカーの「5つの質問」を紹介します。これは企業だけでなくNPOをはじめとする非営利組織のマネジメントでもよく使われます。


この質問に答えることで、私たちが実施するプロジェクトの意義をより明確にすることができます。


 第1の質問 われわれの使命は何か 

 第2の質問 われわれの顧客は誰か 

 第3の質問 顧客にとっての価値は何か 

 第4の質問 われわれの成果は何か 

 第5の質問 われわれの計画は何か  


質問の順番は、考えるプロセスの順番であるとともに、優先順位でもあります。

第2の質問の「顧客」ですが、NPOの場合「活動の受益者」と「隊員や支援者」の二つ顧客がいます。それぞれの顧客が求めている価値(ニーズ)を踏まえた目標(出したい成果)を設定し、それを達成するための計画に落としていきます。 


そして、何よりも優先されるのが「使命(ミッション)」です。

その活動のそもそもの目的がこのミッションにあたります。 



この記事を書いた人

事務局長 伊藤 章 

IVUSAの中では管理業務一般と、広報や社会理解学習のプログラム作りをする係。最近は、海ゴミ問題のキャンペーン「Youth for the Blue」も担当

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