社会課題について身近に知り、感じ、考えるイベント、Social Salon。2020年8月よりオンラインでの開催をスタートさせました!オンライン第三弾となる今回は、2020年10月31日(日)14時から17時まで開催しました。IVUSA会員4名、一般参加者4名と、ゲスト・スタッフ含め計15名の方々との学びの時間となりました。
今回のテーマは、“減災”ってなんだ“!?
今回のゲストスピーカーは、こちらの3名。IVUSA危機対応研究所所長の宮崎猛志さんと、減災ファクトリーの東西リーダーのおふたりです。
主宰の湯田による、Social Salonや場についての説明などの後、ゲストのお話から始まります。
▼Social Salonとは
1人目のゲスト・宮崎さんのお話
国内外の被災地で活動されつつ、平時は地域防災に関わられている宮崎さんからは、
・減災とは?
・避難生活、避難行動に向けた「備え」とは?
について、お話頂きました。
日本は、自然が豊かな国であるため、様々な“自然現象”が起きます。それが、人間の生命や生活に影響を及ぼすと、「自然災害」となってしまう訳ですが、自然豊かな国で生きる以上、災害とどう付き合っていくのか?考えてゆく上で、「減災」は大事なポイントとなります。
減災とは、災害による被害を最大限減らし、最低限のものを守ること。その時重要な視点となるのが、“「最低限」とは何か”という点。
「命を守ること」がまず大切ですが、
「命」とは、「息をしている」だけでしょうか?
…という問いかけが。現代社会に生きる我々にとっては、「生活の質」の重要度は増し、個々の価値観も多様化しています。そんな中で、“価値観の多様化、生活の質⇆集団におけるコンセンサス”のバランスが難しく、また重要なポイントであるといいます。
みなさん、ハザードマップを見たことは、ありますか?
ここからのお話は、「避難」についてです。 どんなハザード(=自然現象)によって、どんな災害が起きるのか?それを、自分自身の身近な場所のハザードマップで確認し、「自分自身の災害のストーリーを想像する」ところから全ては始まり、災害の「直接死」を防ぐことに繋がります。
避難生活の自助・共助・公助
「避難」と聞くと、「避難所」がイメージされやすいですが、実はこれまでの災害でも、在宅避難をされている方も多くいらっしゃいます。
また、下の図にあるように、避難所に行かずとも在宅で生活を続けられるための「自助・共助」は進んで来ていますが、在宅避難者を支援する「共助・公助」はなかなか進まず、その間にギャップがあるという現状も。
そういう意味で「共助・公助」に関しては、限界もあるという指摘もあり、国・自治体単位ではなく、コミュニティ単位といった、より細かい生活圏内での防災計画が作られていることが重要となり、それらは国や自治体主導ではなく、民間が主導するものが増えてきています。
「便利さ」と「災害リスク」あなたは、どちらを選びますか?
「減災」を自分ごととして考えるヒントとして、こんな二択の質問が。
この記事を読んでいる皆さんも、ぜひ考えて見てください^^
大事なポイントは、“「便利さ」は、一人ひとり、それぞれ違う”ということ。ですから、「こうしたら良い」という一般的な答えではなく、私たち一人ひとりが、それぞれの「便利」「不便」に合わせて考えていく必要があるということです。また、災害の発生頻度も場所によって違い、それによって、備えに使う時間や予算も変わってくるでしょう。上記の3つの質問の答えを自分なりに考えてみることが、「減災」を自分ごとにする第一歩であり、自分自身や大切な人の災害リスクを減らし、最低限の命を守ることに繋がっていきます。
2組目のゲスト・減災ファクトリー工場長・飯島さん、横谷さんのお話
続いては、「減災ファクトリー」の東西リーダーとして活動している大学生のおふたりからのお話です。実際に、どうやって「減災」に向き合い、行動すれば良いのか?―そのための様々な視点やアイディアを、“避難生活を楽しむために”というテーマで、話して頂きました。
▼減災ファクトリーとは?
減災ファクトリーは、NPO法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)に所属する、有志の学生による活動であり、普段なかなか考えることのない「防災・減災」を面白くデザインして、IVUSA内外に発信することを目的に、Youtubeでの動画配信や、主に学生向けのワークショップなどを行なっています。
・減災ファクトリーYoutubeチャンネル
・減災ファクトリーInstagram @gensai_factory
https://www.instagram.com/gensai_factory/
今回のSocialSalonでは、避難生活―その中でも特に、「在宅避難」という切り口で、楽しみながら、備えに向き合うためのヒントとなるような視点やアイディアを話して頂きました。
1.在宅避難とは?
災害が発生したときに、あなた自身や家族にケガがなく、住居にも危険な損傷がなければ、多少不便であっても、自宅で避難生活を送ること (引用元:世田谷区身近な街づくり推進協議会webサイト https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kurashi/007/002/001/004/d00185983.html)
そして、その際の大前提として、大切な考え方が、こちら。
2.発災時のリスクを想像する
まずは、“命と家が無事だった”として、起こりうるリスクを、想像するところから始まります。 今、災害が発生し、命と家は無事であったと想像してください。 どんなことに困りそうでしょうか? 例えば、主要ライフラインである、電気、ガス、水道の停止ですが、東日本大震災・阪神大震災発生時の復旧日数は、下記の図のように、数日〜数ヶ月に及んでいます。
この他にも、交通網や通信機器などの停止や、買いだめによるお店の品薄状態など、私たちの生活に直結してくる、様々なリスクがあります。
3.在宅避難のために、今できること
では、そのようなリスクを、どう乗り切るか?減災ファクトリーのお二人のから、これは知って備えておくと便利!という提案がありました。
◎“買い物ができない”に備えるーローリングストック法
(一般財団法人日本気象協会webサイトより)
◎“水が使えない”に備えるー災害時用トイレ
(NPO法人プラスアーツ「地震イツモマニュアル」より)
◎“情報が使えない”に備えるーモバイルバッテリー
◎“電気がつかない”に備えるー代用ランタン
水の入ったペットボトルを懐中電灯の上に置くとランタン代わりになりますが、ペットボトルに少し牛乳を加えると、更に明るく!
4.避難生活を楽しむために
最後は、お二人の視点からの、「避難生活を楽しむ」ための重要視していることを、お話いただきました。1人目のゲスト・宮崎さんからも、「必要な備えは、人によって違う」とお話がありましたが、二人にとってまず重要なものは、“メガネ”。これがないと、その先の生活は勿論、避難行動も難しくなってしまいます…。
さらに、お2人ならでは、の「避難生活のための備え」グッズとして、
*アルファ米とカップスープの組み合わせ
*ホットアイマスク
*ワインと缶詰
をご紹介して頂きました。
避難生活においても、「どう生きたいか?」「何が必要か?」「何が好きか?」などについて、一人一人が自分なりに楽しみながら考えてみることが大事なのかな、と、最初の一歩が踏み出したくなるようなお話でした。
もちろん、「楽しみながら」と言っても、災害の被害やリスクを軽く考えているわけではありません。大切にしたいのは、“今できること、その時にできること。”の両方に向き合うこと。その両方について、出来ることを行いながら、そこに少しの「楽しみ」があってもいいんじゃないか。そんな新鮮な視点で、減災を“自分ごと”にし、実際に備えてゆくためのヒントが詰まったお話でした。
ラストは、恒例の“対話TIME”。ゲストのお話を元に、さまざまな問いについて、グループに分かれ、自分の意見を言い合いながら、考え、語ります。
問い①
ゲストのお話を聞いた感想を、自由に話してみてください。
(意識の変化や気付きなどなど…)
問い②
今日のお話のテーマでもあった、避難生活についてです。
あなたは、どんな風に過ごしたいですか?何が必要でしょう?
そのために、今から備えられることは、どんなことでしょう?
問い③
避難生活における「共助」について、どんなことが必要でしょう? あなたは、どんなことが出来そうでしょう…?
これを読んでいる皆さんも、ぜひ、考えてみてください。 多世代で、様々なバックグラウンドを持つ方との対話の中で、1人1人事情が異なり、それに伴って必要なことも異なってくることに、改めて気づいたとの声も多くありました。 また、「共助」は、普段からの人間関係が反映されるという意見も上がり、普段から人との繋がりをどのように紡いでゆくか、ということの重要性も感じました。
いざ!というその時まで、なかなか「自分ごと」にならないけれど、実は、普段の価値観や考え、人間関係などの地続きにある、「災害への備え」。ゲストの方々のお話と、参加者全員での対話での気付きによって、それに向き合うための様々な知識や視点・アイディアが出る場となりました。ゲストの方々、参加者の皆さん、本当に有難うございました!
【オススメ情報】
この記事を書いた人
IVUSA非常勤スタッフ
湯田舞
IVUSAでは、フィリピンツアー通訳兼コーディネーター/減災プログラム化/社会課題を自分ゴトとして考える場”Social Salon in IVUSA”をやっています。IVUSAのOGではなく、大学時代は少林寺拳法ばっかりやってました。宜しくお願いします
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