Social Salon in IVUSA 関東Vol.010 <テーマ:中東で何が起きてる!?>



社会課題について身近に知り、感じ、考えるイベント、”Social Salon in IVUSA”。今回のテーマは、“中東で何が起きてる!?” 


ゲストスピーカーとして、学生時代、パレスチナ問題を研究されており、現在パレスチナ雑貨の輸入をご自身の会社「ZAHARA」で行われている井上 祐花(いのうえ ゆうか)さんと、シリア出身のハイサムさんをお招きし、パレスチナ/イスラエル・シリアという地域についてお聞きしながら、“中東”について知り、感じ、考えました。  


▼Social Salonとは 

 

Social Salon in IVUSA関東vol.010は、2月16日に行われ、9名の学生、7名の社会人が参加しました。  


■“中東”って一体どこ…!? 

はじめに、Social Salon in IVUSA主宰の湯田より場の説明とともに、こんな問いかけが。  

「“中東”と聞いて、どんなことやモノや人をイメージしますか…?」 

「どこの国が“中東”に属しているでしょう?」 


外務省のホームページによると、“中東”に分類される国は、 

アフガニスタン/アラブ首長国連邦/イエメン/イスラエル・パレスチナ/イラク/イラン/オマーン/カタール/クウェート/サウジアラビア/シリア/トルコ/バーレーン/ヨルダン/レバノン  


でも、中東の国に多い“アラブ民族”の方がいる国、というとアフリカ大陸にある、エジプトやモロッコ、リビアやチュニジアなども含まれます。


 “中東”という概念も、国や人によって、定義が様々。国や地域、“◯◯人”という概念…分かりやすく理解するために引かれた線引きであることも多く、“なぜ”“誰によって決められたのか?”“その中身は、何なのか?” 

…そんなことに疑問を持ち、自分自身で考え、言葉にしながら向き合うと、更に学びが深まるのではないかと、そんなメッセージから始まりました。 


 ▼外務省ホームページ


さて、1人目のゲストスピーカーの井上さんのお話は、中東の中でも、「イスラエル・パレスチナ」という国・地域についてです。「イスラエル・パレスチナ問題」という言葉は、学校の授業やメディアを通して聞かれたことのある方も多いかと思います。 



■イスラエル・パレスチナって、一体どこ? 

Google Mapで引いてみると、左の方の、青い丸で囲った部分になります。


 ズームしてみると、この部分。 



GoogleMapなどの地図上では「イスラエル」という国名として表記されているこの地域ですが、「パレスチナ」と「イスラエル」、それぞれの地区に分かれて住む人々異なる民族・文化の人々の対立構造が、長く続いています。それぞれの民族や文化は、下記のようになっています。




 

■何が問題になっている? 

「イスラエル・パレスチナ問題」の起源は、第一次世界大戦後まで遡ります。第一次世界大戦中、イギリスは戦争への協力を仰ぐため、ユダヤ、アラブ両方の民族に対しパレスチナでの独立を約束し、更には同盟国であったフランスとの間では、戦争が終わったらパレスチナを分割しようという協定を結びます。 


このイギリスによる三者への相反する約束を、「イギリスの三枚舌外交」と言います。これにより イスラエル<ユダヤ人コミュニティ>v.s.パレスチナ<アラブ人コミュニティ>(+周辺のアラブ諸国)という 対立が生じました。 


▼参考URL
NPO法人パレスチナ子どものキャンペーンwebサイト 


その対立構造が激化し、起きたのが、第1〜4次中東戦争。年代ごとの、領土の変遷を図にしたものが、こちら。 


オレンジがパレスチナ、黄土色がイスラエルの領土です。パレスチナの領土がどんどん小さくなっています。また、地図上でパレスチナ側の領土に見える部分にも、イスラエル側が「入植地」として、建物を建てています。

 ↑白く見えるのが、「入植」されて建てられた建物。


また、領土の境目のややパレスチナ側には、「分離壁」と呼ばれる、高さ8mにも及ぶ壁がイスラエル側によって建設され、領土が飛び地になっているパレスチナ側の人々にとっては、大変生活しづらい状況となっています。 

 



また、国内において、パレスチナの人々が差別され得る法律も存在します。 



■私たちにできることは? 

遠く離れている中東で起きている、様々なこと。私たちにできることはあるのでしょうか…?井上さんは、その一例として、「経済」についてお話して下さいました。


例えば、

 “自分が使っているものや食べているなど、生活で接しているものは、 どこの企業が作ったもの?どの国で作られたもの?”  


この問いかけについて考えてみることも、第一歩かもしれません。自分が賛同できる企業や国で作られた物を買う…これも一つの「経済支援」と言えるのではないでしょうか。


井上さんご自身は、経済活動を通して何か出来ないかと考え、「ZAHARA」という会社を立ち上げ、パレスチナ人・イスラエル人が共に作るオリーブオイルを仕入れ、通信販売を行われています。就職の難しさなどから、経済的にも厳しい状況になることも多いパレスチナ人に対する支援として、ビジネスという形で向き合おうとされています。 


▼参考URL

ZAHARA webサイト 



続いては、2人目・ハイサムさんのお話。シリアという国について、美しい風景や、ライフストーリーを中心に、お話いただきました。今や、様々な国の思惑も絡み、複雑化しているシリアでの戦争。「なぜそれが起きたのか?」「始まりはなんだったのか?」紐解くためには、時系列に追ってゆくことが必要だということを学びました。

これを読んでいる皆さんも、ぜひ色々調べてみてください。


※参考までに、NHK NEWS WEBの「中東はどのようにして今に至ったのか」のURLをご紹介します。 



ラストは、恒例の“対話TIME”。お2人のお話を元に、さまざまな問いについて、グループに分かれ、自分の意見を言い合いながら、考え、語ります。


問い① もし自分が海外に行って、帰って来られなくなったら、どうしますか?

何が心配?どんなことを感じそうでしょう? 


想像することさえ難しい状況ですが、このような状況の人も、世界では少なからずいるという現状を踏まえ、自分ごとにする第一歩として、想像してみました。  


問い② 今日のお話や、これまでの対話をふまえ、 “あなたは”、日本が、日本人が、どうあったらよいと思いますか?
そのために、自分に何が出来るでしょう? 


この記事を読んでいるみなさんも、是非考えてみてください。 



・世界中が繋がっているこの世界で、“世界”という視点が大事なのではないか。外国人への対応など、日本は“変化に弱い”のではないか。 

・逆に、日本の特徴や日本人らしさを活かして出来ることを探して行けたら良いのではないか。 

・目の前の人の“本質”を知ろうとすることが大切なのではないか。 

・集団行動が多い日本人、他の国に多い個人主義、どちらも良いところがあるのではないか。

・“自分で決めて、責任を持つ”ことを一人ひとりが心がけることは、大切なのではないか。 


「グループ全員考え方が違い、興味深かった」との声も。 


様々な情報は行き交う昨今、すべての社会問題を知ることはすごく難しいですが、「世界の状況を知っていくこと」「日本人は?日本は?と考え、自らを知ること」他者と自身の両方を知ろうとすることが大切なのではないか、と改めて感じました。そして、知るだけでなく、マクロの状況を理解しつつ、ミクロな視点も忘れず、自分自身に出来ることを考えて行きたいという想いが語られていたのが、印象的でした。


これからも、少しでもよりよい社会に向けた一歩を踏み出すためのきっかけとなるよう、Social Salonとしても、場を丁寧に紡いでゆきたいと思います。




 【関連情報】 

▼スンニ派とシーア派ってどういうこと?(NHK NEWS WEB)


中東で信仰している人が多い宗教、「イスラム教」について話すときによく出てくる、「スンニ派」「シーア派」という言葉。どう違うの!?どこの国がどっち!?…なかなか難しい印象もあるかもしれませんが、上記NHK NEWS WEBのサイトにわかりやすい解説が載っているので、オススメしておきます。気になる人は、ぜひこの他にも色々調べて見て下さい! 


◆次回予告 

※コロナウイルスの感染拡大に伴い、現在日程・テーマ調整中です。決まり次第、告知させていただきます。  

※本イベントは、IVUSA会員だけでなく、外部の方の参加も受け付けています。

※ 学生と社会人が、IVUSAの理念でもある、”共に生きる社会”に向けて対話を行う機会でもある、Social Salon in IVUSA。 これからも月に一度開催して行きますので、ご興味をお持ちの方、是非ご参加ご検討ください。 



この記事を書いた人 

湯田 舞 

IVUSA非常勤スタッフ 

IVUSAでは、フィリピンツアー通訳兼コーディネーター/減災プログラム化/社会課題を自分ゴトとして考える場”Social Salon in IVUSA”をやっています。IVUSAのOGではなく、大学時代は少林寺拳法ばっかりやってました。宜しくお願いします  

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