2019年度から始まった、社会課題について身近に知り、感じ、考えるイベント、”Social Salon in IVUSA”。2020年1月26日(日)13:00〜16:00に、関西での第二弾を開催しました!テーマは、“障害ってなんだ!?”。
ゲストスピーカー・安田 真之(やすだ まさゆき)さん/植山 明日香(うえやま あすか)さんのお話をお聞きしながら、“障害”とどう向き合うか?考えました。
▼Social Salonとは?
気になる方は、こちらの記事「Social Salon in IVUSAとは?」をご参照ください^^
今回の参加は、学生9名、社会人8名。年齢や業種など様々なバックグラウンドの参加者の皆さんから出る、多様な視点で深く考え、語る時間となりました。 自己紹介をした後、ゲストスピーカーのお話が始まりました。
■普通に暮らす”こと自体が、ゆるやかな社会変革につながってゆく
まずは、1人目のゲスト、安田さんからのお話です。
お話の始まりは、「“障害”ってなんだ?」を考えるワークから始まりました。
今回のテーマを考えるにあたって、それぞれが“障害”とは何か?を考えることは、出発点。
それぞれが自分で言葉にしたものを心に留めつつ、お話は安田さんの生い立ちに移ります。
全盲の状態で生まれ、小中高時代は盲学校で過ごされた安田さん。
当時取り組まれていた、「グランドソフトボール」という競技をご紹介いただきました。
(グランドソフトボールの短い紹介動画です。ぜひ見てみてください^^)
盲学校卒業後は、地元を離れ大学へ。
印象的だったのは、近所のご飯屋さんでのエピソード。
自然な席の案内や注文の内容の会話などがやりとりの中で行われるように徐々に変化していったといいます。最初のころは、どう対応すればいいか店員さんは戸惑った様子があったものの、安田さんが何度も通い常連になるにつれて、徐々に席の案内や注文などが自然なやりとりの中で行われるよう変化していったといいます。
その経験から、安田さんが“普通に暮らす”こと自体が、周りで暮らす人々への変化をもたらし、そしてそれがゆるやかな社会変革につながっていくのではないかというお話がありました。
また、就職活動の際は、採用担当者に「何ができるかわからない」と思われるのが一番の障壁。その障壁を解消するために、自分がどのように作業を行うのか。例えば、パソコンの使用方法(音声読み上げソフトで文章の内容を知ることが出来るなど)などを、実際にパソコンを用いて説明するなどを通し、徐々に理解を促していかれたそう。
そんな安田さんは現在、障害学生支援を行う「NPO法人ゆに」で働かれており、その他にも、甲子園短期大学での非常勤講師や点字出版物の触読校正、支援者養成の講師などをされています。
■「障害平等研修(Disability Equality Training)」とは?
最後に、ご自身もファシリテーターとして活動されている、「障害平等研修(Disability Equality Training)」(障害当事者がファシリテーターをつとめ、障害者差別解消法を推進し、共生社会を目指すための研修)の一部をご紹介いただきました。
絵を見ながら、「障害とは何か?」「障害は、“どこに”あるのか?」を考え、障害について考える時、「障害者を変える」→「社会・環境を変える」という発想の転換がポイントになることを学びました。
■本人の意見を汲み取ることの大切さ
続いては、2人目のゲスト、植山さんのお話です。
大学卒業後、保育士として児童発達支援センターで3年間勤務された後、2016〜2018年の2年間、JICA青年海外協力隊としてマレーシアで活動されました。2018年4月より日本福祉大学大学院国際社会開発研究科の修士課程にて、「障害と開発」を自身の分野とし、マレーシアの障害児に関わる人々の意識と態度に関する研究を行われています。
青年海外協力隊として過ごしたマレーシアでは、マレーシアの障害児教育の現状を見る機会が多くあったそうです。子どもたちの能力の向上に焦点がとあてられ“訓練”が施されるように見える状況の現地から求められるニーズは、“道具”や“訓練技術”であることが多く、「能力が備わっているのが当たり前、という概念の基にある支援は、健常者の価値観の押し付けなのでは…?」と、違和感があったことも。
そんな中でも、“子どもにとって最善の利益とは何なのか?”を考える中で、植山さんが出した答えは、“楽しむ”。現地の人に何かを伝える際、“押し付ける”のは上手くいかないことも実感する中で、この3つを大切にされたそうです。
帰国した植山さんは、マレーシアで感じた違和感や想い・考えを改めて言語化しながら学びたいと、日本福祉大学大学院で、「障害と開発」のゼミに進学され、“障害の捉え方”“支援者の立場”などを、実践を振り返りながら学ばれています。
また、直近で経験した、セルビアでのインターンシップについてもお話いただきました。セルビアでは、一人の車椅子ユーザーの方に密着。実際に当事者の方と道を歩くことで、道路の進みづらさなど、インフラの悪さなどを目の当たりにし、またご本人が通われている大学や寮の様子も見学する中で、支援者という立場で“必要な支援”を決めるのではなく、「本人の意見を汲み取ること」の大切さを痛感したと語ってくださいました。
マレーシア、セルビアの状況を見る中で、国の背景によって、障害当事者の方から出てくる意見も全然違う、ということに驚かれたそうです。
例えば、マレーシアでは、支援技術や方法、教材を求められることが多かったのに対し、セルビアでは、法律や制度が整っていないことや、「権利」が欲しいという声を聞かれることが多いよう。また、それらの国と比較して、植山さんとしては、日本は、制度はかなり整ってきている印象があるものの、その制度からこぼれてしまう人がいる筈なので、そこをもっと知りたい、と思っているとのことでした。
ご自身の今後については、考え中だそうですが、日本の中で、障害が「福祉」の分野のみで捉えられがちなことに違和感があり、企業とのコラボなど、ビジネスと絡める機会を創ることに興味があるそうです。 植山さんの今後のご活躍に期待大です…!
最後は、参加者全員で、グループに分かれての対話TIMEです。
<問い①>
グループごとに割り振られたIVUSAのプロジェクトに、今日のゲストの安田さんが参加したい!と思われた場合、どんな“障壁”がありそうでしょう?
そして、どんな解決策がありそうでしょう?
事前の段階で、そもそもwebページへの掲載だけでプロジェクトを知ることが出来るのか…?という視点や、そもそも、「何が出来る?出来ない?」ということを勝手に決めつけてしまってはいけないので、ご本人とのコミュニケーションが一番大事なのではないか?など、それぞれが真剣に状況を想像し、考えました。
IVUSAのプロジェクト関わらず、学校や会社など、様々な場面で、これからもこの問いを想定して見ることが、様々な人が生きやすい社会に繋がるかもしれません。
<問い②>
今日のお話や先ほどの問いの答えを踏まえて…
どんな社会になったらいいなと思いますか?そのために、あなたは何が出来るでしょう?
・まず、互いを知り、互いの立場を考えることを実践していきたい
・まずは、困っている人に声をかけることが出来ることかなと思う。
・「選択肢がある社会」に向けて、自分自身が架け橋になりたい
・「障害/健常」などの境目がなく、ごちゃまぜな社会が良いと思った
・福祉の予算が圧迫されてゆく中で、経済を組み込むにはどうしたら良いか考えたい
などなど…様々な立場やバックグラウンドの人ならでは、の様々な視点からの意見が出ました。
社会の様々な問題は、すぐには解決しないことも多いけれど、今回出た意見の様に、まずは相手の存在や意見を知りながら、少しずつでも自分に出来ることを探っていくことが、第一歩なのかもしれません。 Social Salonも、「知り、考える」最初の一歩として、これからも、よりよい場の在り方を模索し続けてゆきたいと思います。素敵なお話をいただいたゲストのお二人、そして、ご参加くださったみなさま、本当にありがとうございました。
◆次回予告
4月or5月を予定しています。
詳細が決まり次第、会員ページ及びFacebook ページにてお知らせさせていただきます。 ぜひ、ご参加ください♬
◆Social Salon in IVUSAお手伝いメンバーも、随時募集しています!
ご興味のある方は、事務局・湯田もしくは、現お手伝いメンバーにお声がけください!^^
この記事を書いた人
湯田 舞
IVUSA非常勤スタッフ
IVUSAでは、フィリピンツアー通訳兼コーディネーター/減災プログラム化/社会課題を自分ゴトとして考える場”Social Salon in IVUSA”をやっています。IVUSAのOGではなく、大学時代は少林寺拳法ばっかりやってました。宜しくお願いします
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