一昨年の平成30年豪雨(西日本豪雨災害)、昨年の台風15号、19号災害と、近年風水害での被害が、激甚化・広範囲化しています。
IVUSAも一昨年、昨年と延べ2,515人の災害救援活動を行いました。
ドイツの非政府組織(NGO)「ジャーマンウオッチ」は、台風や洪水などの気象災害の影響をランク付けした報告書「世界気候リスク・インデックス」の2020年版を昨年12月4日に公開しました。その中で、日本が18年7月の豪雨で甚大な被害を受けたことなどから世界183カ国でワースト1位となりました。
大型台風の被害を受けており、IVUSAでも防災・減災をテーマに活動を行っているフィリピンが2位です。
指標となる気候リスク・インデックス(CRI)は、気象災害による
◇死者数
◇人口10万人当たりの死者数
◇経済的損失
◇経済的損失の国内総生産(GDP)に占める割合
の各項目で国・地域別にランク付けし、その順位の数字に項目ごとに設定したウェートを掛けて算出した数値を足したものだそうで、CRIが低いほど気象災害の影響が大きいことを意味するそうです。日本の5.5は他国と比べても非常に低い数値ですね。
近年、大雨による災害が多発していることは、皆さん実感としてあると思います。 しかし、統計的にみると年間降水量は変わっていないし、そもそも雨が降らない日が増えている。と聞いたらどう思いますか?
気象庁が出している「気候変動監視レポート」という報告書があります。毎年発布されており、昨年7月に出された2018年版によると、過去120年間の観測地点での偏差解析の結果、長期変化傾向はみられないことがわかっています。
さらに、日降水量1.0㎜以上の日、つまり雨が降った日は年々少なくなっているのです。
なんと、日本は雨の量は変わらず、雨の日が減っているにもかかわらず、年々風水害が多発、激甚化しているということになるのです。
次のデータを見てください。
同じく「気候変動監視レポート」にある、日降水量100㎜以上の日、つまり集中豪雨の起きた回数は年々増えてきているという統計になっています。つまり、日本は雨の降り方が変わってきたということです。
本来、雨が降ると地面に浸透していき、時間をかけて地下水脈や晴れた日の自然蒸発によりバランスがとられるものですが、年々アスファルトやコンクリート化してきた町では、ほとんど浸透することなく雨水管や下水管を通じて、低地や河川に流れ込みます。中山間地では林業の衰退により手入れの行き届かない人造林が増え、保水力の低下や山肌の崩落が多発。小河川に一気に雨水と土砂、流木が流れ込みます。
ただでさえ浸透力、保水力の低下した国土に、雨の降り方が「集中」「豪雨」なわけですから、結果、河川の氾濫や土砂崩れといった風水害が多発する近年の状況も、納得せざるを得ません。
現在国土交通省を中心に、これまで時間雨量50㎜だったものを時間雨量70㎜に対応できるようにと、人工的な排水能力の向上に取り組み始めていますが、いつまでもお上頼みの防災・減災はいかがなものでしょう。
警報が発令されるくらいの「大雨」の時は、シャワーは禁止、お風呂の水は流さない。全国民が徹底したら、内水氾濫や決壊するほどの河川の増水は防げるのでは?
と思うのは私だけでしょうか。
この記事を書いたひと
IVUSA危機対応研究所 所長、IVUSA 理事
宮崎 猛志 【地域密着型災害救援家】
平時には、地域防災や危機対応に関する講演やワークショップの運営、応急救命講習の普及に努めている。国士舘大学防災・救急救助総合研究所非常勤研究員、世田谷区防災会議専門部会員、ちよだボランティアセンター運営委員、せたがや防災NPOアクション代表、その他災害VC運営委員、災害NPOネットワークメンバー等
災害救援や地域防災に関する講演やコンサルティングも請け負っています。
ご興味ございましたら以下よりご連絡ください。
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