私は、CMT(危機対応講習)も担当しているため、消防が実施している応急手当普及員の講習を受講し、普及員認定資格を取得しています。
これは事業所等で、従業員等に対して普通救命講習を行うことができる資格です。 講習の内容は、CMTで行っているような、胸骨圧迫やAEDの取り扱いを始めとする一次救命処置、搬送法、ケガや熱中症に対する処置などです。
また、普通救命講習の指導者として必要な教授法について学び、筆記試験と実技試験を合格することで認定されます。
今回は、この応急手当普及員講習でのことを一部ご紹介します。
■消防署員は1体100万円以上の訓練人形で訓練している
講習会では、特別に消防署員が日々の訓練に使用している、より実践的な訓練ができる人形を使用させていただきました。 この人形は100万円を超えるもので、血圧、胸骨圧迫の強さやテンポ、人工呼吸の吹き込み量などもモニターできるものです。
適切な処置を継続し、蘇生に成功した時には、人形が瞼を開け、「ありがとう」と言ってくれます。
■10年間、間違っていた人工呼吸
胸骨圧迫については、手前味噌ですが講師からもお褒めの言葉をいただけるほど、圧迫の強さやテンポが上手くできていました。
「IVUSAで10年間教えているので当然」と、少し天狗になっていました。 しかし、人工呼吸はそううまくいきませんでした。 何がいけなかったというと、吹き込む量が多すぎたのです。 人工呼吸は、口から「はー」と息を吐くようにし、約1秒かけて吹き込みます。 私は必要以上に吹き込んでいました。
講習後に改めて調べたところ、1回の人工呼吸で必要な吹き込む量は、500mlほどだそうです。 イメージが付きづらいですが、安静にしているときの1回の呼吸量と同じくらいだそうです。 ビニール袋で口と鼻を覆って、呼吸してみるとわかりますが、思ったよりも少ないです。 私はちゃんと吹き込むことを意識しすぎて、量が多すぎたようでした。
人工呼吸をすることになった際は、口から「はー」と優しく、約1秒かけて、胸が少し上がる程度で行いましょう。 久々に講習を受けて、はじめてちゃんと理解できることがありました。どれだけ経験をしていても、どれだけ年をとっても、学び続けることは必要だなと、改めて実感する機会になりました。
【おまけ】講習で学んだ豆知識
講師は、現役の特別救急隊の隊長だったのですが、お聞きしたことを少しご紹介します。
○高齢者等が喉に詰まらせやすい食べ物は?
高齢者が喉に詰まらせる食べ物と聞くと、どんな食べ物を思い浮かべますか? 私が真っ先に思い浮かべたのは、お餅です。 しかし、お餅は意外にも、詰まらせてしまう方は徐々に減っているそうです。 ご自身や周囲が「詰まらせやすい」と認識している方が多く、気を付けているからだろうとおっしゃっていました。
さてさて、他にどんなものがあると思いますか?
こんにゃく、お肉、お寿司、パンです。
どれも噛む力が弱くなっていると、噛みきれないものですね。 お寿司の中ではタコ、イカ、海苔巻きだそうです。 海苔は水分を吸って、しなっとなっている場合は、噛み切りづらいようです。 口の中でモゴモゴと噛んでいるつもりでも、噛みきれておらず、ご飯と一緒に団子状になった状態で飲み込んでしまうそうです。 また、飲み込む力が弱くなっていることもあり、詰まらせてしまうことがあるそうです。
これらのものは、本人も、周囲の人も「詰まらせやすい」という認識がないことが、詰まらせてしまう一つの原因とおっしゃっていました。
○詰まらせてしまったら?
まずは、大きな声で「咳をして!!」と言いましょう。 咳ができない、咳をしても解消されない時は、背部叩打法を行います。 意識が無くなった場合は、直ちに119番通報とAEDを要請し、一次救命処置の手順に沿って救命処置を行います。
この記事を書いた人
IVUSA危機対応研究所 主任研究員 深山 恭介
IVUSA17期卒。関西事務所勤務。 災害救援活動、ロジスティックス、危機対応講習を担当。 プロジェクトでは阿蘇海環境づくり活動、雪原カーニバルなかさと協働活動、インド生活支援活動を担当。
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