7月13日~14日、IVUSA夏プロ『三重県熊野市減災チャレンジキャンプ』を共催するNPO法人あそぼらいつの学童利用者向け企画に参加しました。減災チャレンジキャンプ本番に活かすべく、子どもとの接し方について潜入調査のごとく観察して(学んで)来ましたので、その様子をレポートします。 他の子どもを対象とした事業にも活かすことができればと思います。
■はじめに
NPOあそぼらいつの黒瀧一輝理事長ほか2名の職員の方々に勉強会へ参加いただき、子どもたちと接するにあたって大切にして欲しいこととして、「人としての対等感」や「子どもの育ち」について事前レクチャーをしていただきました。
その中で、子どもたちが遊びも含めた様々な事からその先に生きるために必要なたくさんのことを学ぶということ、そして、その育ちにあたっては子どもの意思を大切にし、接する方の意思も大切にする「対等」をどう実現するかが大切であることを学びました。 そして今回の企画への参加では、こうした講義形式で学んだことを実体験として学ぶことができました。
■子どもたちひとりひとりと向き合いながら、全体を見ることの大切さ
体験を通じ、一番大切だと実感したのは、「子どもひとりひとりと向き合うこと」と「一部だけではなく全体を見ること」を両立させることでした。
私たちが“活動”や“企画”をするというとき、そこには狙いがあり、目的があります。
例えば『三重県熊野市減災チャレンジキャンプ』で言えば、【学生と子どもたちがともにリアリティーをもって減災について学ぶことにより、ひとりひとりが愛着のある地域にとっての「減災とは」を考え発信できるようになる】こと。しかし、それだけを求めて“子どもたち”として一括りに見てはその子にとっての楽しい時間にはならず、「またやりたい」とか「家でも試してみたい」というような体験にはならないかもしれません。
考えてみれば私たちもそうですが、同じ物事でも人によって受け取り方は違い、はじめましてから時間が少しでも経てばその関係性は変わっていきます。たとえば、今回の企画はスイカ割りをするチームと、水鉄砲などで妨害するチームに分かれて競うチーム戦でした。その中で言えば、水鉄砲をかけていい子なのかそうでないかはその子の性格と関係性とで変わり、その見極めはとても難しかったです。
しかし、“目の前のその子”だけを見ていても、狙いや目的からはそれていってしまいます。その子の特徴や性質、関係性はその子とだけのもの。一部の子だけではなく子どもたち全体を見て、狙いや目的を常に胸に置きながら行動しなければ達成は難しいとも学びました。 目の前のその子にとっての最善が何かを考え、寄り添い接すること。そして、その間にも狙いや目的を胸に常に置いて行動すること。 子どもたちにとっても、私たちにとっても、その周りの社会にとっても最善の活動・企画としようとすればこそ、『木も見て森も見る』ような視点が大切だなと感じました。
(2018年8月に熊野市で実施した防災キャンプの様子)
■見て体験して学んだポイント
その他のポイントについて箇条書きで書き留めます。
・「だめ」と伝えるよりも、子どもたちにわかりやすい理由を付けて気づかせること
・答えを教えるのではなく答えを自ら出すことをサポートすること
→学生であれば「ルールだから」とか「公平にするために」とかそういった、「なぜそうでないと困るか」というようなプロセスをショートカットした正義や道徳っぽい言葉でやらせてしまうような場面も多いもの…。
ちゃんとやることよりも、「なぜそうしないといけないのか?」を自ら考え、自ら気づき、自らルールをつくって、それをチームで共有していくこと自体が大きな学びでもあります。また、そもそも、「こうだから」で言い聞かせることは果たして対等なのかというと対等ではなく、その人の判断する自由を奪うことでもあります。
「こうだから」に従わなければならないことも大きくなればあるものとは思いますが、「こうだから」に従うしかできない人たちが多いことはきっと社会にとってもこわいこと。子どもだからこそ、「なぜそうなのか」を考えることが大事なのだと思いました。
・子どもたちを神経質に見過ぎない
→安心できる環境の中でのちっちゃな冒険の中で子どもたちはたくさんのことを学んでいくそうです。挑戦させる、とりあえずやってみる姿を見守る。最低限の明らかに危ないことは大人から提案して事故予防をすることは大事ですが、過度に「危ないからやらせない」こともまた、子どもたちにとっての学びを減らすものなのだと学びました。
・子どもひとりひとりと向き合うためにその子のことを知ること、知ろうとすること
→初歩的な名前・呼んで欲しい名前を知ることはもちろん、コミュニケーションを取る上では大人にたいしてよりも更にちゃんと『表情を読み取る』ことが大切だと感じました。
「今日の企画どうだったー?」というようなオープンクエスチョンで聞いても「別に」など曖昧な返事が返ってくることが多いように感じました。自分の感情や考えを伝える力がまだまだ発展途中であるからこそ、子どもの方から発信している態度や表情を大切に受け取ることが大事なのだと思います。
また、自分が子どもだった頃を思い出してみると、あまり疑問形で迫って来られるのは苦しい!という子も少なくはないはず。だからこそ、「疲れたけど楽しかったねー!」など、問いかける側が感じたことを発信しながらYES/NOで応えられるような話しかけをする方が良いのかなと思いました。
■所感
スイカ割りの時に、ちょっぴりドラマチックな展開がありました。指導員さんが、「スイカ割りに挑戦したい人―?」と子どもたちに手を挙げさせた時に、一人低学年の子どもが手を挙げました。すると、勝ちにこだわる高学年男子が、「おまえの力じゃスイカは割れん。」と初めはブツブツ。結局じゃんけんをしたらその低学年の子が勝ったのですが、すると高学年の彼らが自主的に態度を改め、その低学年の子どもを勝たせるための作戦を真剣に考えはじめました(ちょっぴりかっこよかった)。
その作戦は、その子を円で囲んで水鉄砲から防ぎながら前へ誘導するというもの。そして、スイカまでたどり着き、同じチームの声援の中で懸命に叩いて無事に割ることができました。しまいには胴上げまでしていて、この日の思い出は、低学年の子にとっても高学年の子にとってもとってかけがえのないものになるのだなと感動。何かに挑戦する力や、チームで一つのことに取り組む大切さを私一人勝手に実感し、就活の極意を学べた気がしました(笑)
小学生の行動一つ一つから学べることが本当に多くて、対等な立場で何かに取り組む楽しさを実感できました。もっと気軽に、もっと柔軟な思考を持って、これからは自分に正直な人間でありたいなと思えた貴重な1日でした。 NPO法人あそぼらいつの皆様、そして一緒に遊んだみんな、ありがとうございました!!!
■この記事を書いた人
三重県熊野市減災チャレンジキャンプ2019
プロジェクトリーダー南和音(同志社女子大学3年生)
プロジェクトサブリーダー 松平勇樹(関西大学3年生)
若林香菜子(立命館大学3年生)
赤松渉太(立命館大学3年生)
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