日本では、毎年のように地震や水害などの自然災害により、多くの被害が出ています。 その復旧活動には、行政、土木・建設をはじめとする企業、住民だけでなく、多くのボランティアの力も必要となります。
その災害ボランティアには、大きく分けて「一般ボランティア」と「専門ボランティア」に分けられます。 一般ボランティアとは、特別な知識や技術がなくても取り組めるボランティア活動のことで、専門ボランティアとは普段の仕事やこれまでの災害救援活動などで培った専門的な知識や技術を活かすボランティアのことです。
この専門ボランティアの中には、ショベルカーやバックホーなどと呼ばれる重機を使って復旧活動に取り組むボランティアもいます。
今回、IVUSA特別顧問でもあり、災害ボランティア向け重機講習会を開催するDEF(災害エキスパートファーム)の黒澤司氏にIVUSA向けに重機講習会を開催していただきましたので、その様子を一部ご紹介いたします。 受講者は、IVUSA理事2名、職員2名、OB1名でした。
まずは、座学で重機の各部位の名称や操作方法、注意点、事故事例などを学びました。
そのあとは実際に重機に乗って、基本操作や重機の特性を学びます。
作業機という手のような部分で地面を押し、車体を起こします。
実際にこういう操作をすることは基本的にないそうですが、重機の特性を理解するためには重要です。
(実際乗ってみると「倒れないか!?」とかなり心配になります)
次に走行訓練。
急斜面を登ったり…
急斜面を下ったり…
写真だと伝わりにくいですが、初めて乗ったときは、そこらへんのジェットコースターよりも怖かったです・・・。
水害では、作業機の先端がバケットのものを多く使います。
このように土を掘り、
一輪車(通称ネコ)やダンプに積み込み、運搬します。
地震災害や流木などが多くなる土砂災害では、作業機の先端がこのように物を掴めるハサミを多く使います。
ハサミでの作業は、繊細な操作が求められることが多々あるので、丸太を積み上げていく動作で練習しました。
(私たちは3段目までしかできませんでした・・・)
基本操作の練習の最後はダンプへの積み込み・積み下ろしです。 重機は基本的にダンプなどで移動・運搬するため、安全に積み込みができることは必須です。
慎重に歩み板とキャタピラの位置を合わせ・・・
ゆっくりと登っていきます。
別アングル
緊張した面持ちです。 それもそのはず。操作を間違えば大事故に繋がりかねません。
無事積み込み完了です。
講習の最後には、実践作業ということで、倒木の撤去を行いました。
今回の3日間の講習で、重機の効率性やパワーを感じるとともに、一歩間違えれば大事故に繋がりかねない大変危険なものであるという認識をしました。ただ、この認識は、重機に乗って作業をする人だけがしていては意味がありません。 重機と連携し作業をする人たちも十分に危険性を理解しておく必要があります。
最後に、どういったことに気を付けるべきか、記載しておきますので、災害現場などで活動する際には、念頭において活動に臨みましょう。
・勝手に重機の作業半径には入らない
・手元作業を行うときは、重機オペレーターの顔が見えるところで行う(オペレーターからも見えるところ)
・手元作業員を増やす際は、オペレーターに報告する
・重機作業を中断してほしい時は、作業半径外でオペレーターに向かって手をあげて知らせる
→オペレーターと目が合って、操作レバーから手を離したことを確認する
・いきなり大きな音や声を出さない(びっくりして操作を誤る可能性がある)
・合図のための笛を携帯する(緊急の際は手をあげて知らせるのでは遅いため)
・手元作業に慣れた人と同じように手元に入ってはいけない
・重機の右側は死角が多いので、近くにいなければいけない時は重機の左側にいるようにする
・重機からネコに積み込むときは、ネコは地面において、手を放して少し離れる
→ケースバイケースなので、あらかじめオペレーターに確認する
・重機をダンプなどに積込・積降している際は、重機が転倒する可能性があるので、離れる
今回ご指導・ご協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。 今後も四半期に1回ほどのペースで、IVUSA向け重機講習会を開催していく予定です。
小型車両系建設機械の資格を持っている方はご参加いただけますので、ご連絡いただければと思います。
この記事を書いた人
IVUSA危機対応研究所 主任研究員 深山 恭介
IVUSA17期卒。関西事務所勤務。 災害救援活動、ロジスティックス、危機対応講習を担当。 プロジェクトでは阿蘇海環境づくり活動、雪原カーニバルなかさと協働活動、インド生活支援活動を担当。
0コメント