2019年度からの新たな取り組みとして始まった、Social Salonとコラボして、社会課題について身近に知り、感じ、考えるイベント、”Social Salon in IVUSA”。
第4回となる7月のテーマは、“地域共生社会”。千代田区社会福祉協議会(ボランティアセンター)の職員であり、IVUSAの学生とも地域のお祭りや交流事業を通して共に活動をされている、ゲストスピーカー・永松 誠(ながまつ まこと)さんのお話をお聞き、“地域”を取り巻く社会の現状や課題と共に、自分自身との繋がりや関わりについて考えました。
Social Salon in IVUSAvol.004レポート
今回は、7月13日に行われました。4名の学生、5名の社会人が参加。少人数で行われた分、アットホームな雰囲気の中、濃密な時間になったのではないかと思います。
まずはグループワークの時間。グループに分かれた参加者の自己紹介の後、「自分の地元の自慢な所、残念な所」をシェアしました。それぞれのユニークな視点での話が飛び出し、盛り上がりました。
つづいて、今日のテーマである、
“地域共生社会”と聞いた時、“共に生きる人”として、思い浮かぶ人は誰ですか?
という問いを、ペアで考えてみました。
この記事をお読みの皆さんはいかがでしょうか?
―お隣さんなどの住民、コンビニの店員さん、子育て世帯、行政、高齢者、学生、交差点ですれ違う人々etc...
さまざまな視点の「共に生きる人」が出てきました。 この、“誰と共に生きるのか?”という問いの答えを想像することは、今日のテーマ、“地域共生社会”を考える上で大きなポイントとなりそうです。
地域共生社会とは?私たちを取り巻く課題とは?
そしてはじまった、ゲストスピーカー永松さんのお話。 地域には課題も沢山あるけれど、「楽しく、ワクワク!」というキーワードを持って考えて行きたい、という、永松さんの人柄もうかがえるお話も。
永松さんが、福祉に関わることに繋がるいくつかのターニングポイントと、それらによって、ご自身の考えがどのように変わって来られたか、をお聞きし、「福祉のお仕事」が身近に感じられました。
今回のお話で、永松さんがなんどもお伝えいただいた、厚生労働省の「地域共生社会」の定義。これを元に、“そもそも、地域共生社会とは何なのか?”“私たちを取り巻く課題は何か?”を、考えていきました。
まず、“少子高齢化”に際して、何が課題なのか?、未来、人口比率がどのような形になっているか?についてお話しいただきました。
課題としてあげられる、国や地方公共団体から国民に普及されるサービスである、“社会保障費”や、地域コミュニティの希薄化により起こりうる事象を、歴史の変化と共に考えました。
続いて、「地域共生社会」は、どのように実現されるのか?ということについて考えていきました。事例として、参加者の多くが、生活圏として関わりのある、東京都の都心部について、人口の状況とそれに伴う課題をお聞きしました。
永松さんが働かれている、“社会福祉協議会”は、全国のすべての都道府県、市区町村に設置されており、行政やNPO、様々な市民活動と連携しながら、地域の課題解決をサポートする存在です。地域の課題の解決方法として、実際に取り組まれている事例をいくつかご紹介いただきました。
・ボランティアさんによる、高齢者ひとり暮らし世帯への宅食サービス
・町会の福祉部メンバーにより自習運営されている、タワーマンション筋トレチーム
(筋トレだけでなく、災害時の高層階からの避難訓練も行われているそうです!)
・地元企業の社内ボランティアチームによるコンサート
そして、
・IVUSAの学生が関わった事例として、区営住民との交流イベント
最後に“まとめ”として、社会保障制度の変化の中で、国が全て面倒を見てくれる形から、個々人で考えてなければならないことも増え、また、その中で制度の狭間問題も出てきているこの時代に、「楽しく、前向きに」、自分に何が出来るか?!これからも一緒に考えて行きましょう!というメッセージを話してくださいました。
自分たちの“未来の姿”を想像してみる
ラストは、対話の時間。永松さんのお話を元に、さまざまな問いについて、グループに分かれ、自分の意見を言い合いながら、考え、語ります。
<問い①> 2055年、あなたは何歳になっていますか…?
どうなっていて、どんなことに困ってそうですか…?
今回のイベントへの参加者は、大学生から60代の方まで、年齢もさまざま。2055年の年齢も、55歳、65歳、95歳etc… その時には、“後期高齢者”の年齢もさらに引き上げられてるのでは…!?なんて声も。
「55歳とかでも、バリバリ働いてそう…」「地元に帰って農業をしているかな」「AIの発達によって、働き方や医療など、どうなってるんだろう…」「認知症になってたら、生きてたいって思えるかな…安楽死制度は日本ではどうなってるだろう…」
それぞれが、自分たちの“未来の姿”を想像してみることで、明るい視点や暗い視点、さまざまな視点や温度感で考え、話しました。
<問い②> “地域共生社会”…“あなた”は、どんな社会になっていたらいいなと思いますか…?
・多様な人々が“共に生きる”ために、肩書きや外観でなく、内面のニーズの見える化が迫られるのではないか。
・コミュニティも多様化し、共有スペースが増えるなど、コミュニケーションの在り方も多様になるのではないか。
・“共に生きる人”との在り方として、対面でのコミュニケーションが大切になっていそうだけれど、テクノロジーの発展によって、“Face to face の在り方も、変わるのでは…?!
…などなど、社会のあり方と共に、そうなった時の人々のあり方や、テクノロジーなどの周りの状況などについても話が広がりました。
「どんな社会になったらいいか?」生きていく上で、ずっと付いて回る問いでもあり、話し足りなかった分、これからも話し続け、考え続けていきたいと思います。
<問い③> あなたは、明日から何が出来そうですか?
一人ひとりが出来そうなこと、やりたいことをシェアしてみました。
一人ひとりが、上辺でなく、自分がこれから出来そうなことをじっくり考え、発信している様子が印象的で、一人ひとりがしっかり考え、自分の意見を持ちながら、多様な人々と対話してゆくことで、「一人ひとりが、よりよい社会を作る」が創られるのだろう、と実感出来るような、そんな時間が流れていました。
答えはひとつではなく、すぐに出るものではないからこそ、考え続けて行きたいし、考えたことを分かち合う場と時間が必要だと思っています。
私たちが生きている“社会”を創る、様々な要素について考える“きっかけ”を。
すぐには答えの出ない問いを、考え続ける、もやもやと楽しさを。
そんなことを様々な人と共有できる場を、ひらき続けてゆきたいと思っています。
本イベントは、IVUSA会員だけでなく、外部の方の参加も受け付けています。 学生と社会人が、IVUSAの理念でもある、”共に生きる社会”に向けて対話を行う機会でもある、Social Salon in IVUSA。 これからも月に一度開催して行きますので、ご興味をお持ちの方、是非ご参加ご検討ください。
◆次回予告
10月予定です。 現在、テーマ検討中。分かり次第、Facebookイベントページにてお知らせさせて頂きます。
<参考URL>
もっと知りたい!という方は、是非下記URL 等調べたり、周りの人とおしゃべりしたりしてみてください♫
▼「不安な個人、立ちすくむ国家〜モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか〜」 平成29年5月 次官・若手プロジェクト
https://www.meti.go.jp/committee/summary/eic0009/pdf/020_02_00.pdf
▼「生活支援コーディネーター及び協議体とは」~その目的、仕組み及び養成について~ 現在は厚生労働省 老健局振興課
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000139123.pptx
この記事を書いた人
湯田 舞
IVUSA非常勤スタッフ
IVUSAでは、フィリピンツアー通訳兼コーディネーター/減災プログラム化/社会課題を自分ゴトとして考える場”Social Salon in IVUSA”をやっています。IVUSAのOGではなく、大学時代は少林寺拳法ばっかりやってました。宜しくお願いします。
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