IVUSAで活動していると、「スタ(系)*」「アド(系)**」「ロジ(系)」という言葉をよく聞くと思います。
今回は、この中から「ロジ」についてご紹介します。
■ロジとは?
「ロジ」は「ロジスティクス」を略したもので、IVUSAでは活動の根幹をなす業務や、その担当者のことをロジと呼びます。
そもそもロジスティクスとは、軍事用語の「兵站(へいたん)」という意味です。 軍事装備の調達、補給、整備、修理及び装備や人員の輸送、展開、管理・運用についての総合的な軍事業務を指します。
また、現在では企業の物流合理化の手段として、原料の手当てから販売まで、物流を効率的に管理するシステムのことも、ロジスティクスと言います。 そのため、物流系の会社は、「(株)○○ロジスティクス」というように、社名にロジスティクスを入れていることもあります。
■IVUSAのロジはなにをしているのか?
IVUSAでは、調理・装備・ドライバー・当日作戦の4つの役職に分かれています。 (ちなみに、アド系業務も、「活動の根幹をなす」という意味ではロジスティクスととらえることもできます)
・調理
調理は、活動参加者の食事を担当します。
IVUSAの活動では、
①参加費を抑えるため、②災害時の炊き出しの訓練、などの理由から、基本的に自炊をしています。 多い時には500人分の食事を毎日作ることもあります。
「腹が減っては戦はできぬ」と言いますが、活動に参加している隊員にとって食事は、「この後の活動も頑張るぞ!」というエネルギーになります。 また、宿泊型の活動では、地域住民との交流会を行うことがほとんどですが、交流会の時の食事は、地元の食材を利用したり、郷土料理を地元のお母さん方と一緒に作ったりすることもあります。食事を通して、交流を深める役割も担っています。
(東日本大震災の被災地での炊き出し。被災された方々にもお手伝いしていただきました。)
(交流会の準備は、もちろん開始時間までにきっちり終わらせます。)
・装備
活動を行う際にはたくさんの道具・資器材が必要となります。これらの物のことや、物を管理する役職のことを装備と言います。
例えば、大雨による被害があった被災地での活動では、多くの場合土砂(ヘドロ)を取り除く必要があり、そのためにはスコップやバケツ、一輪車(通称ネコ)などが必要になります。 いくつもの場所に分かれて活動するため、それぞれの場所に必要な種類、必要な個数を配置することが大変重要です。 また、自分たちの装備等を組み合わせたり、改造して必要な道具の代替品にしたりすることもあります。
ちなみに、IVUSAが保有している装備の中には、前述の調理で必要な大きな鍋や炊飯釜などもあります。(給食室やラーメン屋にあるようなものです)
(こちらは炊き出しに必要となる装備の一部です。)
(一人前になるには、まずは装備をきれいに積み込めるようにならなくてはいけません。)
・ドライバー
ドライバーはその名の通り、車を運転する役職のことです。調理で必要な食材や、活動場所で必要になる装備の運搬、人員の輸送などを行います。
IVUSAの活動で使用する車両は、ハイエース(ワンボックスのバンタイプの車)や2トントラックを使用することが多いです。 乗用車よりも比較的大きな車を運転し、多くの装備や人員を輸送するため、とても責任のある役職です。
行程が遅れたり、輸送中に装備などは破損したり、事故起こしてしまったりすると、多くの人に迷惑をかけてしまうことも。 そのため、ドライバーを務める学生は単に自動車免許を取得していればいいかというとそうではなく、多くの仲間の命を預かり、かつIVUSAの看板を背負っていることを強く認識する必要があります。
(みんなが交流会などをしている裏では、翌日のために暗い中積み込みをすることもしばしばあります)
(炎天下の中、車の中で昼食を取れるのはドライバーの特権です。)
・当日作戦
当日作戦は、プロジェクトを成功させるために、人・物・金・情報・移食住・装備を有機的に「繋ぐ」ことを担っています。なんのために、何をやるのかを把握し、いつ、どこで、誰が、どのように実行するのかという具体的な作戦を立案します。このとき、関係各所(隊内外問わず)との調整が欠かせません。
作戦次第で、当日の動き(活動の成否、モチベーション・リスク対応)が大きく左右されます。
「軍師」や「参謀」に憧れる方、魅力を感じる方はぜひトライしてみてください。
■ロジのやりがい
ロジは、「できて当たり前」の役職のため、怒られることはあっても褒められることはほとんどありません。地域住民やIVUSA学生から感謝をされることもほとんどありません。
時間通りに食事が用意される、必要な物が揃っている、決められた時間に目的地に到着していることは当たり前だからです。 そのため、「縁の下でチームを支えることが苦手」「みんなとわいわいできないのは寂しい」と思う人はあまり向いていないかもしれません。
一方で、隊員がごはんを食べながら「おいしい」と言っているのを聞いたり、交流会で地元の方と学生が料理を食べながら盛り上がっているのを見たり、活動現場で過不足なく装備を用意できたり、自分たちで立てた行程通りに装備や人員を輸送できたりしたときに、心の中で「してやったり」と思い、自分で自分を褒めてあげられる人には向くかもしれません。
こういった直接感謝はされないけど、仲間が笑顔で食事をしていること、地域住民が笑顔になることを陰で見たり、後から話聞いたりすることが一番のやりがいです。
■ロジで大切なこと
最後に、ロジで大切なことを紹介します。
それは「段取り7割」ということです。
段取り7割とは、活動前日までの段取りで、結果の7割が決まるということです。
学校の試験なども同じです。なにも復習をせずに試験に臨めば、いい結果にはならないでしょう。しかし、授業の内容や自分の苦手なことをしっかり復習すればきっといい結果も期待できます。
こういった段取りの内容や質が、結果に直結するのがロジです。 ロジをやりたいと考えている人は、ぜひ日常生活から、「段取り7割」を意識して取り組んでもらえればと思います。
*スタとは? 「スタ」は、「スタッフ」を略したもので、IVUSAでは参加者(隊員・クラブ員)をマネジメントする業務や、その担当者のことを「スタ」と呼びます。 具体的には、プロジェクトやクラブの最小単位である班とその班員をマネジメントする班長や、プロジェクトの参加者(隊員)向けの勉強会の作り手があります。
**アドとは? 「アド」は「アドミニストレーション」を略したもので、IVUSAでは各種情報やお金をマネジメントする業務や、その担当者のことを「アド」と呼びます。 具体的には、会員(隊員)情報を管理する会員管理、対外へ団体や活動等に関することを発信する広報、プロジェクトやクラブのお金を管理する会計があります。 また、活動ごとによって異なりますが、物品協賛や資金協賛など営業活動を行うファンドレイジング(資金調達)も含まれることもあります。
この記事を書いた人
IVUSA危機対応研究所 主任研究員 深山 恭介
IVUSA17期卒。関西事務所勤務。
災害救援活動、ロジスティックス、危機対応講習を担当。
プロジェクトでは阿蘇海環境づくり活動、雪原カーニバルなかさと協働活動、インド生活支援活動を担当。
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