バーチャルOB・OG訪問 ~オルタナティブな選択をした先輩 その2~

 大学を卒業し、都市部でサラリーマンとして働く人が「ふつう」の今、地方で第一次産業や地域活性化にかかわるという「オルタナティブ」な生き方をしているIVUSAのOB・OGを紹介するこのシリーズ。2人目は新卒から「アグリワーカー」として働き、現在は和歌山県みなべ町で梅農家をされている里村修造さん(25期・立命館大学出身)です。


Q.もともと農業には関心があったんですか?

 両親はふつうのサラリーマンだったのですが、祖母が家庭菜園をやっていました。じぶんが作った安心・安全な野菜が食卓に並ぶのが素晴らしいと思っていたので、もともと興味はありました。

 ただ、農業はセカンドキャリアのつもりでした。ある程度蓄えができてから、早期退職した後にやろうと考えていたんです。

 でも、大学3年の時に、宮城県山元町での東日本大震災復興支援活動に参加したとき、「山元町が元気になるものを作りたい」と移住して農業をされている内藤靖人さんという方と出会い、「こういうやりがいもあるのか」と思って、すぐにやることにしました。


内藤さんについては▼

(IVUSAでの活動時の写真)


 大学最後の一年は、農業への足掛かりとして、宇治茶の収穫のアルバイトに行きました。場所は大阪吹田クラブが今も活動している京都府和束町で、5月から8月まで住み込みで働きました。同時並行で夏プロのオオバナ(琵琶湖の外来水生植物)除去活動にもかかわっていましたね。

 そこで出会った人たちとのご縁もあって、次はミカンの収穫、次はシャインマスカット…といった具合に、旅をしながら仕事をしてきました。それで2年前に梅に落ち着いたという感じです。


 両親からは反対こそされなかったものの、心配はされました。親戚関係に農家はいないので、住む場所のことや将来的なビジョンなどかなり問い詰められました。しっかりと説明したつもりですが、100%納得してもらえてたのかはわかりません。

 今でも「ちゃんとご飯食べれてるのか」ってLINEが来ます(笑)



Q.梅を選んだ理由は何ですか?

 もともと果樹をやりたいとは思っていました。

 これまで行った先々で、収穫したものをInstagramに載せていたのですが、その中で一番反応がよかったのが梅でした。梅は漬けないと食べられないので手間はかかりますが、買った人が梅酒を作ってまた別の人にふるまってくれたこともありました。何か連鎖してるみたいで嬉しかったです。

 そのようにお客さんに喜んでもらっている手ごたえがあったのが決め手でしたね。

(梅酒に使われる青梅)


(梅干しに使われる完熟梅)


 和歌山県みなべ町で大きい梅農家がアグリワーカーを募集していて、最初はそこの従業員ということで働き始めました。

一口に農家と言っても、家庭で営んでいるところもありますし、農業法人として大規模でやっているところもあります。

 梅農家としての仕事や技術を覚えながら、手放された農地を借りて、少しずつ独立していくという形にさせていただきました。昨年2022年6月に大きい畑があき、技術的にも独立しても大丈夫と言われたので、畑を確保して独立しました。畑を手放す高齢のおじいさんに教えてもらいながら仕事していたのですが、今年2023年1月に引き継ぐことになりました。今年からは私の名義で梅を出荷していきます。

 (冬の剪定作業の様子)

 

 (畑からの景色)


また、南高梅の歴史は50年から60年と意外に短いので、これから若い我々が品種改良等で参入する余地がありますね。


Q.農家としての暮らしはどうですか?

収穫の繁忙期(6月から7月)は、それこそ雨の日も休めないほど忙しいですが、それ以外はそれほどではないです。梅農家の場合、収穫した梅を最初に生のまま出荷したあとは、家の大きなタンクに漬けておいて、それを少しずつ出荷するという形になります。ですからスケジュールは比較的立てやすいと思います。


今、住んでいるのは、集落の農家さんがもともと住んでいた空き家を月1万円で借りています。県外からの移住者が空き家に入った場合は、修理費用の一部を国が補助してくれますし、片付け費用も別に行政が出してくれます。


Q.学生や他のOB・OGへのメッセージをお願いします。

 農業の魅力も大変なところも同じで、仕事のリズムが全然サラリーマンと違うんです。

 自然相手の仕事ですから、週5日働いて土日休みというように決まっているわけでありません。

 自然のリズムに合わせて働き、作物という目に見えるものを生み出して、それが人のもとに届いて、生の声が返ってくる。それがやりがいですし、そのためだったら働けます。逆に、そこにモチベーションを感じられないなら難しいですね。

 田舎暮らしや農業は想像しているほど楽なものではないし、簡単なものじゃないけど、悲観したり、自分には無理と断念したりするほど、難しいものではありません。

 そういった意味では、ぜひ現場を見てみて欲しいです。和歌山県は、「しごとくらし体験」というプログラムもやっていますし、IVUSAの学生や卒業生の皆さんもぜひ私の畑に来ていただきたいです。

和歌山県「しごとくらし体験」 https://www.wakayamagurashi.jp/category/work/exabout 

 

 あと、僕も農業のアルバイトをするためにお世話になったことがある、【アグリナジカン】という農業専門の人材派遣会社を紹介します。

 アグリナジカンの代表である山下丈太さんは以前、吹田クラブのクラブ事業でカウンターパートをされてた経験もありますので、IVUSAの学生は大歓迎!って感じの人です(笑)

 普通の求人サイトでは扱っていないような珍しい求人も募集してるので、ぜひ一度ホームページを覗いてみてください!

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