バーチャルOB・OG訪問 ~オルタナティブな選択をした先輩 その1~

 IVUSAはむかし、「Youth-Acty!!」というフリーペーパーを発行していました。Actyは「Alternative Choice to You(Youth)」の略で、「オルタナティブな選択を若いアナタに」という意味です。大学を卒業し、そのまま新卒でどこかの企業で働き、場合によっては別の会社に転職するといった「ふつう(メインストリーム)」の生き方もいいけど、「他にもこんな選択肢もあるんじゃない?」というオルタナティブなライフスタイルを紹介していました。

 具体的には、社会起業家的な仕事をしている人、副業で社会課題解決に取り組んでいる人などです。


 2023年、そんなオルタナティブな生き方をしているIVUSAの卒業生を紹介するシリーズを始めました。特に「地方で暮らす」「農業」「セカンドキャリア」などがキーワードになります。

記念すべきトップバッターは、和歌山県で桃農家をしている高野将史さん(25期・関西大学卒)です。高野さんは新卒で物流業界の会社に就職したあと、全く未経験だった農業の世界に飛び込みました。




Q.どうして転職しようと思ったんですか?

 特にこれと言ってやりたいことがなくて、あまり深く考えず、「いい感じの企業」ならいいかと思って就職しました。そこそこのサラリーマンでいいかと思っていたんです。でも働き始めてみたら、仕事時間も長く、人間関係も大変だったので、これは「持たない」と思って、3年経ったら辞めることを決めました。

(リーダーを務めた中国での緑化活動にて)



(結構やつれています)


将来に対して漠然とした負担を持っている人は多いと思います。どの会社に入ったとしても、一つの会社に勤めあげるという時代ではなくなっています。企業に頼って生きる生き方はリスキーなので、個人で稼げるようにならないといけないと思ったのがきっかけですね。実際は、とにかく「今の仕事をやめたい」というのが転職の一番大きなパワーだったわけですが。


Q.農家になった経緯を教えてください

 最初は転職サイトを見ていたんですが、どれもピンときませんでした。

 そこで一回自己分析をしてみたんです。転職サイトを見るとどうしても企業ありきでかんがえてしまうので、それがダメじゃないかと思ったんですね。

「自分はどうありたいか?」「何に喜びを感じるのか?」とったところから深堀していきました。その結果たどり着いたのが、「100歳まで個人で健康的に心豊かに生きる」ということでした。

 何か決定的な理由があって農業を選択したわけではないんですけど、「ひと房2,000円のマスカットが盗まれた」というニュースを見たり、同期で農業している人がいたり、田舎暮らしへのあこがれがあったりといろんなものが積み重なってという感じですかね。もちろんフリーランスで動画編集やウェブデザインの仕事をするということも考えたのですが、あまりピンときませんでした。

農業と他の仕事を組み合わせた働き方である「半農半X」に関する本も読んで、やったらやっただけ稼げる世界だということもわかったので、飛び込んでみたわけです。

(こんな本を読みました)



(参考にした動画です)


3月に仕事を辞めたあと、5月から失業保険の給付を受けながら9か月間農林大学校に行きました。

また和歌山県の紀の川市に親戚の家が空き家のままになっていることもあったので、場所はそこにし、栽培するのは「あらかわの桃」というブランドがあったので、桃にしました。



(庭では野菜を育てています)


もともと単価も高いし、忙しい時期とヒマな時期がはっきり分かれている果樹農家になりたかったです。




Q.農家としての暮らしはどうですか?

一言で言うと、めちゃ楽しいです。周りの人と一緒に雑談もしながら作業していくのですが、一人で黙々とするのだったら無理だったと思います(想像以上に作業が単純なので)。桃農家のコミュニティには農機具をもらったり、いろいろアドバイスしていただいたりととても助かっています。

桃農家は繁忙期が1か月半くらいあるのですが、それ以外は自分で作業時間をコントロールできますし、自由度が高いです。自分に裁量権があるのは大事です。

あと、地方は居住コストが安いのも大きいです。そこまで稼がなくても、余裕のある暮らしができます

ただ新しく農家になろうとすると、畑を借りるのが面倒なので、最初は大変かもしれません。その辺りはまだアナログ的というか、昔ながらというところがあるので。その分、補助金のサポートもあります。


Q.学生や他のOB・OGへのメッセージをお願いします。

自分としては、サードキャリアはないと思っています。

体が健康なら農業をし続けたらいいわけですし、そういう意味では老後の心配もありません。

適度に農業で稼いで、他にもいろいろできる選択肢もあります。

何より「会社という概念から解放される」というのが大きいと思います。

会社員をしている時は組織に属さない生き方に一歩踏み出すのが怖かったのですが、いざ辞めてみたら一気に人生の選択肢が増えて自分軸で人生が動いている感じがして何をしていても楽しいです。一度きりなので、自分で思っているよりも人生はもっと自由で楽しんだもん勝ちでいいんだなって思います。

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