Social SalonオンラインVol.9 トランスジェンダー〜「LGBTQって言葉、知ってる!」のその先へ〜

社会課題について身近に知り、感じ、考えるイベント、Social Salon。2020年8月よりオンラインでの開催をスタートさせました!オンライン第9弾は、2021年8月29日(日)14時から17時で開催しました。IVUSA会員13名、一般参加者36名と、ゲスト・スタッフ含め49名との濃い学びの時間となりました。


今回は、ゲストスピーカーとして、トランスジェンダー当事者のお2人にお越しいただきました。


主宰の湯田による、Social Salonや場についての説明などの後、ゲストのお話から始まります。



▼Social Salonとは



1人目のゲスト・筌場さんのお話

初めは、筌場さんからのこんな問いかけから始まり、「性」にまつわる概念を整理しながらお伝えいただきました。


この記事を読まれている皆さん、是非考えてみてください。

「女子ならメイクするよね」「男ってエロいよね」「異性を好きになるのが普通じゃない?」etc…

私たち一人一人が「当たり前」と思っていることをアップデートしてゆく、というのがお話の目的です。「性」という言葉から、思い浮かぶことは、どんなことがあるでしょう?いわゆる「性的」なことだけでなく、生活や人生など、私たちを取り巻くさまざまなことに広く関わっていると言います。



続いて、性を捉える概念、「SOGIE(ソジ)」について。



「SOGIE(ソジ)」の概念を、細分化して表にしたのは、こちらの図。

皆さん、自分自身が、それぞれの項目でどこに当てはまるか、ぜひ考えてみてください*


「SOGIE(ソジ)」について考える際、「全ての人は固有のSOGIEを持っている」こと、「人からどう見えるか」ではなく、「自分にとって自然/しっくりくるのがどこか」が大切であり、自分が決めるものであるということ。また、変わったり揺れたり迷ったりするSOGIEのあり方もあるということなどが、大切なポイントだそうです。


「セクシュアルマイノリティ/LGBTQ+とは?」とはSOGIE のあり方が、少数のパターンの人のことを指します。多様な性のあり方の中でも比較的メジャーな性のあり方の頭文字をとってLGBTなどと呼ばれたりしますが、「自分のことがよくわからない」「決めたくない」と言うスタンスを含め、多種多様な性のあり方が存在します。




そして、今日のテーマは、その中でも、LGBTの「T」にあたる、「トランスジェンダー」

「生まれる前に決まっていた性」と「自分が思う性」が一致していない状態だと説明をされることが多く、勿論個々人によって違いはありますが、「自分の性をどのように捉えるか」と言う「性自認」にまつわる困り感があると言う特徴を中心に、ご本人のライフストーリーと共に、これまでの葛藤や感情などを含めてお話いただきました。



2人目のゲスト・勝又さんのお話

勝又さんのお話は、ライフストーリーから始まりました。自身の性に対する違和感を覚え始めた七五三の時から、身体の変化等、周囲や社会からの声や視線による葛藤や辛さ等をお話して頂きました。性に対する「当たり前」が溢れるなかで、人と繋がる為には、「嘘をつく」しかなかった。そんな中で、相談出来ず生きづらさが続くループの中にいたと言います。


日本において、自殺とセクシュアルマイノリティの相関関係についても、データが示されています。また、学校でいじめにあった時に、相談して解決してもらえると思えない、というデータもあるそうです。


家庭・日常生活から学校、メディア、地域、会社、その他さまざまな場面における、私たち一人一人の中にある「当たり前」、そして、社会のあらゆるツールから悪意なく発せられるメッセージとしての「当たり前」や「常識」が、「あなたは、間違っている人」「迷惑をかける存在だ」と言うメッセージとして、自分自身の中に突き刺さっていたそうです。


そして、更に恐ろしいのが、そのように社会から受け取ったメッセージが、知らず知らずのうちに自分の中に内面化されてしまうこと。自然に、自分で自分を攻撃してしまうようになったと言います。


怖いことに、メッセージを送っている側にはほとんど意識がないこと。なので、周りにいた人のことを「悪い人」だと思っていたわけではないと言います。人を傷付けたかったり、悪意がある訳ではないのに、知らず知らずのうちに、加害者になり、その加害を再生産してしまう…私たち一人一人の「当たり前」の延長線上にある「社会」。どうなってゆくと、良いのでしょう。


まず大切なこととして、「知る」こと。そのための動きは、日本でも進んできています。

著名人による発信や絵本を通したものや、行政による「パートナーシップ制度」の導入、文科省等によるガイドライン策定、企業での取り組みなども行われています。


▼パートナーシップ制度について、詳しく知りたい人は、こちら!

「公益社団法人Marriage For All Japan―結婚の自由をすべての人に」Webサイトhttps://www.marriageforall.jp/marriage-equality/japan/


ただ、トランスジェンダーに関する法律・制度面は課題も多くあります。例えば、戸籍上の性別を変更するためには、下記のような5つの条件がありますが、費用面・健康面への負担だけでなく、必然的に人生における選択肢を狭める形にもなっています。


こちらは、世界全体でみた性的指向に関する状況が地図で表れされたもの。同性愛が刑罰の対象になる国もあるなど、世界的にも、課題は残されています。詳しく知りたい人は、ぜひこちらをご覧ください


▼性的指向に関する世界地図2020「認定NPO法人虹色ダイバーシティ」Webサイト


このような状況ですが、私たち一人一人は、どのように考え、行動してゆけば良いのでしょうか。ここからは、参加者全員で考え、語る時間となります。



対話TIME

ゲストのお2人にお聴きしたお話を踏まえ、ラストは、恒例の“対話TIME”。

さまざまな問いについて、グループに分かれ、自分の意見を言い合いながら、考え、語ります。


問い①

お二人のお話を踏まえ、感想をシェアしてみてください。


問い②

海外の法制度との差、トランス女性への否定的な意見等もある中で…
“あなた”は、どんな社会で在ったら良いと思いますか?


問い③

これまでの話を踏まえ…自分に出来ることは、どんなことがあるでしょう?


これを読んでいる皆さんも、ぜひ、考えてみてください。



年齢や職業、住んでいる場所もさまざまなメンバーで、それぞれが、「自分」を通した性のあり方や社会のあり方に向き合いながら、言葉が紡がれてゆく様子が、とても印象的でした。法律や制度など、すぐには変わらないことも沢山ありますが、私たち一人一人の「当たり前」によって作られていることも多くあり、私たち一人一人が出来ることについても向き合う時間となったのではないでしょうか。

改めまして、ゲストのお二人、参加者の皆さん、有難うございました!


▼SocialSalonのFacebookページ

https://www.facebook.com/socialsalon2016


引き続き、SocialSalonを、どうぞ宜しくお願いいたします!



この記事を書いた人

IVUSA非常勤スタッフ 湯田舞

IVUSAでは、フィリピンツアー通訳兼コーディネーター/減災プログラム化/社会課題を自分ゴトとして考える場”Social Salon in IVUSA”をやっています。IVUSAのOGではなく、大学時代は少林寺拳法ばっかりやってました。宜しくお願いします







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