社会課題について身近に知り、感じ、考えるイベント、Social Salon。2020年8月よりオンラインでの開催がスタート!
オンライン第三弾となる今回は、2020年11月29日(日)14:00〜17:00開催しました。IVUSA会員14名、一般参加者5名と、ゲスト・スタッフ含め計25名の方々との学びの時間となりました。
今回のテーマは、“開発”ってなんだ”!?
ゲストスピーカーは、こちらのお2人。
様々な土地で開発協力関わるお仕事をされて来たお二人ですが、イベント当日は、橋本さんはジョージア、高橋さんはエチオピアから登場してくださいました!
主宰の湯田による、Social Salonや場についての説明などの後、ゲストのお話から始まります。
▼Social Salonとは
1人目のゲスト・高橋逸郎さんのお話(in エチオピア!)
◎キャリアから見る、開発協力・国際協力
高橋さんからは、主に、ご自身の国際協力でのキャリア・ご経験をお話していただきました。 高橋さんのキャリアは、こちら。上の国旗が滞在国、下の数字は、キャリアの年数が表されています。
様々な国に滞在され、様々なセクターや役割で働かれながら、主夫をされていた期間や、大学等で学ばれていた期間も。学ぶタイミングは、人それぞれですが、キャリアアップの為に学ぶ人が多いというのも、この業界の特徴だそうです。
続いて、国際協力・開発協力のお仕事の、“いいところ・悪いところ”について。
◎国際協力の仕事×持続可能な世界
国際協力のお仕事は、一つのテーマでも、様々な切り口があります。例えば、高橋さんのご専門は「水・衛生」分野ですが、下記の図のような状況における課題は、「水が飲めない」こと以外にも、「遠くまで水を汲みに行かねばならないので、子どもが学校に行きたくても行けない」「水汲みに行くまでに、性暴力の被害に合う」など様々な問題があり、それらが複数のSDGsのゴールと関連しています。
一つのテーマから、他にどんなことと関連しているのかを認識していくことが重要になるとともに、開発協力・国際協力への関わり方も、様々な分野があるということをお話いただきました。
◎一歩を踏み出す
最後に、開発協力・国際協力の分野に関わりたい人に向けた、高橋さんからのメッセージをいただきました!
2人目のゲスト・橋本典子さんのお話(in ジョージア)
今回のテーマは、「開発協力」ですが、そもそも、「開発」とは何か?なぜ、「開発」が必要なのか?などの根っこの部分について、お話いただきました。
冒頭では、フィリピンのミンダナオ島の先住民族の村での村長さんの 「我々のやり方でやらせてもらった」 という発言を聞いたエピソードをご紹介いただきました。プロジェクトの実施には、ドナーである先進国側がお金を出して実施されているけれども、「俺たちがオーナー(開発における主人公)だ」と聞こえなくもないこの表現に戸惑いを感じつつ、 オーナーは、誰なのか? という、そこから感じられた問いかけを頭の片隅に残しつつ、これからのお話は始まりました。
◎開発の言葉のはじめから考える定義とは?
「開発」という概念や学問が提唱されたのは、“第二次世界大戦後”すぐで、比較的近年に生まれた概念です。1949年、アメリカのトルーマン大統領の就任演説にて「development(開発)という言葉・概念が一般に認知され、「低開発地域」の「開発」が、国際的な政治・経済の中で重要なテーマとなってゆきます。下記はその演説の一部ですが、利他的・ある意味で利己的にも取れる動機から始まり広まった「開発」という概念は、「他者への積極的な介入」をも意味しています。
“我々は自国の科学力や工業力を低開発地域の発展に役立てるべく、大胆な新計画に着手せねばならない 。世界の半数以上の人民は、悲惨とも言うべき状況で生活している。
彼らの食料は不充分である。彼らは、疫病の犠牲になっている。彼らの経済生活は、未発達であり停滞している。彼らの貧困は、己にとっても、また豊かな地域にとっても障害であり、脅威である。”
▼トルーマン大統領の就任演説、全文が気になる方は、こちら!
◎開発援助の種類は?
「開発」と言っても、様々な形態、アクター、専門家が集まり、「開発」に携わっています。ただ、本質的に、他国による「開発」は万能の策ではなく、実際に責任を持つのは、実際に「開発」の行われる国の政府、地域の責任者・リーダーです。支援側の国、受け手側の国・どちら側にいるかによって考え方が変わることもありますが、
「開発の主役」が誰なのか。
これは、「開発」に向き合う上で、大切な視点となりそうです。
◎「開発」の対象は誰か?
続いては、開発援助の「対象」についてのお話。OECDによって、国・政府による開発援助(ODA)の受け取り国となる基準が、定められています。上記のA〜Eの基準にどんな国が入っているかは、OECDのリストのURLを下記載せておきますので、気になる人は是非見てみてください。更に気になる人は、外務省のホームページなどで是非調べて見てください^^。
▼DAC List of ODA Recipients Effective for reporting on 2018, 2019 and 2020 flows
◎なぜ、援助をするのか
ドナーはなぜ開発援助を行うのか?それについての理由の分類についても、重要な視点です。
「開発」というものが支援する側(ドナー)の事情を優先し行われて来たという指摘、ともすると非難!もあれば、国民の税金から資金を拠出している、ドナーが自己利益を考えるのは当たり前だ、という視点もあります。
冒頭にお話しいただいた、フィリピンの村長さんの言葉を今一度ふり返りつつ、
誰が、なんのために、どういう結果をもたらしたいのか?
を、関わる人が考えていくことが大切だと、お話しいただきました。
◎開発援助の現場
最後に、橋本さんがこれまで開発援助の現場に携わられてきた内容や、その中で意識されたり、大切にしてこられたりしたことをお聞きしました。
対話TIME
ラストは、恒例の“対話TIME”。ゲストのお話を元に、さまざまな問いについて、グループに分かれ、自分の意見を言い合いながら、考え、語ります。
問い①
日本は、もっと国際協力をするべきだと思いますか? それは、何故ですか?
問い②
高いお金を払って、わざわざ海外へボランティアをしに行くことを、 どう思いますか?
問い③
“あなた”は、どのような形で「国際協力」に関わって行きたいですか?
これを読んでいる皆さんも、ぜひ、考えてみてください。
ゲストのお二人の刺激的かつ多角的な視点でのお話を受け、
*“開発”ってなんだ?
*“ボランティア”ってなんだ?
*国際協力を仕事にするとは?
などなど…幅広い視野で、参加者全員で知り・感じ・考え語る場となりました。コロナ禍で、なかなか海外へ行くのも難しい情勢が続いていますが、私たち一人ひとりが「世界の課題」「人類の課題」にどう関わって行くのか?
Social Salonは、これからも、共に知り・考える場を紡ぐことを通して、社会の課題に向き合っていきたいと思います。
ゲストのお二人、参加者の皆さん、本当に有難うございました!
【オススメ情報】
ゲストのお二人が発信されている情報等、是非今後もgetしてみてください^^!
▼ゲスト・高橋逸郎さんの社会課題や開発問題を取り扱うpodcast【Fairly】
▼ゲスト・橋本典子さんのブログ
◆次回予告
Social Salonオンラインvol.6
どこで何して生きてゆく?〜“移住”から考える、地域との繋がり・暮らし方〜
2021年1月16日(日)14:00〜17:00
<申し込み方法>
IVUSA会員:エントリーページよりお申込みください!
IVUSA会員以外:下記URLよりお申し込み・事前決済をお願いいたします◎
この記事を書いた人
IVUSA非常勤スタッフ
湯田舞
IVUSAでは、フィリピンツアー通訳兼コーディネーター/減災プログラム化/社会課題を自分ゴトとして考える場”Social Salon in IVUSA”をやっています。IVUSAのOGではなく、大学時代は少林寺拳法ばっかりやってました。宜しくお願いします
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