Social SalonオンラインVol.1 〝私〟にとって、「性風俗」「フェミニズム」とは!?〜「コロナが収束したら美人さんがお嬢やります」騒動から考える〜

社会課題について身近に知り、感じ、考えるイベント、Social Salon。対面での対話型のイベントのため、2020年3月以降、コロナ禍で開催を中止していましたが、2020年8月29日(土)14時から初の試みとして、オンラインで開催しました!IVUSA会員18名、一般参加者24名と、ゲスト・スタッフ含め計40名を越える方々との学びの時間となりました。  


今回のテーマは、今年4月に、ネット中で炎上した、お笑い芸人・ナインティナインの岡村隆史さんの、深夜ラジオでのこんな発言。 


「コロナが収束したら、もの凄く絶対おもしろいことある(中略) 苦しい状態がずっと続きますから(中略)美人さんがお嬢やります(中略) 稼がないと苦しいですから(中略)だから今、我慢しましょう」 

※ここで言われている「お嬢」というのは、“性風俗産業に従事されている女性”“セックスワーカー”のことです。 



みなさんは、この発言、どう感じられたでしょうか?  


岡村さんの発言が、「女性蔑視」「貧困女性を搾取している」などの観点から批判され炎上した一方、岡村さんを批判している側が「性風俗産業=かわいそう、守られなければならないもの」という前提に立っているが、それは偏見なのではないか、など岡村さんへの批判に対する批判も多く見られました。


主にSNS上でわっ!と炎上し、時と共に過ぎて行ったこの騒動について、信頼できるお二人のゲストをお招きし、お話を聞きながら、改めて、

・なにが問題だったのか?
・自分はどんな価値観・意見なのか?
・どんな社会になったら良いと思うのか? 


参加者全員で知り、感じ、考えたいという想いから、この企画が出来ました。 


ゲストスピーカーとしてお越しいただいたのは、
*フェミニスト・アクティビストの本田綾里さん
*性風俗業従事経験のあり、現在は性風俗業に従事される方へのメンタルケアやカウンセリング、コンサルティングなどを行われている竹田淳子さん 



主宰の湯田による、Social Salonや場についての説明などの後、ゲストのお話から始まります。

▼Social Salonとは  



ゲストのお話 

1人目のゲスト・本田綾里さんからは、

初めに、今回のテーマでのキーワードとなる「ジェンダー」「フェミニズム」「セックスワーク」という言葉の定義をご説明いただきました。 



その後、今回の騒動の問題点について、下記を中心にお話いただきました。


*背景にある女性蔑視的な視点など、岡村さんの発言及びそれによって浮き彫りになった社会の問題点 
*岡村さんの発言を批判する意見から見える、「性産業」「セックスワーク」への偏見 

*全ての人に認められるべき「人権」をベースとした視点の大切さ  「岡村さん個人の発言の問題」、ではなく、岡村さんの発言・その発言への様々な反応から浮き彫りになった「私たちの社会の抱える問題」についてお話いただきました。


最後に、 “差別は、その人の人格ではなく、「学び」によってしか達成されない” とのメッセージがあり、学び続け、考え続けることの大切さを感じました。 



2人目のゲスト・竹田淳子さんからは、

ご自身の経験を通して、セックスワークの現状、当事者としての声をお話いただきました。 「決して人から”可哀想”と言われる職業ではなく、自ら決め、”技術”を提供している」という、淳子さんの職業観についての言葉がとても心に残り、自分自身の、「性産業」「セックスワーク」への価値観についても、改めて考えるきっかけとなりました。 



対話TIME

ラストは、恒例の“対話TIME”。お2人のお話を元に、さまざまな問いについて、グループに分かれ、自分の意見を言い合いながら、考え、語ります。 



問い①
ゲストのお話を聞いて、 今、あなたは、岡村さんの発言について、どう感じ、考えていますか? 何か変わったことはありますか? 


問い②

もしあなたの友達から、「性風俗業で働きたい」と言われたら、 あなたはどう感じるでしょう?何かしますか?(止めるなど) それは、なぜでしょう? 


問い③

ジェンダーロールが固定的になりやすいこと(男だから○○、女だから○○など) について、“あなた”は、どんな風に感じますか? 

また、社会はどうなって行くと良いと思いますか? これを読んでいる皆さんも、ぜひ、考えてみてください。  



1つ目/2つ目の問いに向き合う中で、自分自身が持つ性産業・セックスワークへの価値観や偏見が浮き彫りになったり、3つ目の問いを通して、自分たちの持つジェンダーロールへの認識や感じ方の違いから様々な気づきが生まれたりなど、これまでの経験などのシェアを通して、自分自身と他の参加者の意見や価値観に向き合う時間になっていました。  


初のオンラインでの開催、対話の時間は、Zoomのブレークアウトセッションを使用し、IVUSA会員学生、一般参加者が混ざった少人数グループで行われました。ブレークアウトセッションを使用したことで、他のグループの声や様子が見聞きできないので対話に集中しやすかったことや、一人ずつしか話せないことで、それぞれの人の意見やその背景に向き合いやすかった、との感想もありました。




 膨大かつさまざまな情報が、すごいスピードで流れゆく昨今ですが、

“誰が、何で困っているのか(=何が”問題“なのか?)?”

“自分自身は、それに対してどう感じ、考えているのか?”

 “他の人はどう感じ、考えているのか?” 

…そんなことに丁寧に向き合いながら、「どんな社会になった良いのか」を、共に考えてゆくことが、“より良い社会”を創る、第一歩になるのかもしれません。 


Social Salonは、これからも、様々な立場・経験の人の話に耳を傾け、向き合いながら“自分自身”とも対話する、そんな時間をみなさんと創ってゆきたいと思います。 


ゲストのお二人、参加者の皆さん、本当に有難うございました! 




【ゲストからのオススメ本情報】

性産業・セックスワークについての理解を深める! 

中村淳彦「新型コロナと貧困女子」 

SWASH編「セックスワーク・スタディーズ」 


フェミニズムについての理解を深める! 

上野千鶴子・田房永子「上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!」 

チョ・ナムジュ「82年生まれ、キム・ジヨン」 (画像8) 



この記事を書いた人 

IVUSA非常勤スタッフ 

湯田舞  

IVUSAでは、フィリピンツアー通訳兼コーディネーター/減災プログラム化/社会課題を自分ゴトとして考える場”Social Salon in IVUSA”をやっています。IVUSAのOGではなく、大学時代は少林寺拳法ばっかりやってました。宜しくお願いします    

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