現在、新型コロナウイルス(Covid-19)の感染が世界的に広がっており、私たちの生活にも大きな影響を及ぼしています。
今回は緊急企画として、IVUSAのOB・OGであり、現在医療従事者として働かれている、3名の方をお招きし、感染症対策に関して座談会を行いました。3名はそれぞれ、救急・病院・保健所という違った職を経験しており、今回はそれぞれの立場や視点からお話しいただきます。
・本座談会は2020年4月18日にオンラインで実施しました。
・本記事の内容は、専門機関が発表している資料などを参考にしていますが、あくまでも個人的な意見であることをご留意ください。
・新型コロナウイルス(Covid-19)に関連する情報は、日々更新されています。最新情報は厚生労働省や各自治体のホームページ等をご確認ください。
■参加者プロフィール
・藤本行和さん(2期卒、救急救命士)
1995年1月に発生した阪神大震災への災害救援活動に参加するため、卒業までの2か月間、IVUSAに所属。その後予定していた進路を変え、救急救命士になるため専門学校へ進学し、現在救急を目指す学校で指導者として勤務。
・金澤翔子さん(18期卒、保健師)
学生時代の活動がきっかけで、大学卒業後、医療の道へ進むために看護学部に進学し、看護師・保健師免許を取得。某病院の救急救命センターICU(集中治療室)での勤務を経て、現在は企業の産業保健師として勤務。
・伊藤沙和子さん(22期卒、保健師)
高校卒業後、看護専門学校に進学し、看護師資格を取得。その後大学に3年次編入し、IVUSAにも3年新規として入会。入会後は、カンボジア図書館建設や災害救援、看護師資格を活かし、大規模な活動での救護等を担当。保健師資格取得し卒業後、行政保健師として、保健所・保健センターでの勤務を経て、現在企業の産業保健師として勤務。
※保健師とは 看護師資格を有している人が取得できる国家資格。一般的に看護師は、病院等で病気や怪我をした人を看るの対し、保健師は病気の有無に関わらず、対象となる人たちの健康全般を支援するのが主な仕事。行政保健師は、その地域で生活する人を対象とし、産業保健師は、その企業で働く人を対象とします。生活習慣の改善、メンタルヘルスに関する相談、健康相談・育児相談など、仕事内容は乳幼児から高齢者まで多岐に渡ります。
■それぞれの状況について
―本題に入る前に、現在、社会的にリモートワークが推奨されていますが、皆さんの仕事の状況について教えてください。
藤本 「私が勤めている学校は、感染リスクを考慮し、緊急事態宣言が出る前に、学生たちは自宅待機としました。そのため、講義などを行えていない状況です」
伊藤 「私が務めている会社は、3月中旬には、世界中の全社に対して在宅勤務を開始するよう連絡が来て、3月下旬から私も在宅勤務をしています。今まで会社で行っていた仕事をそのまま自宅で行えている状況です」
金澤 「私も基本的に在宅勤務に移行しています。ただ、従業員数に対して、ノートパソコンなどの在宅勤務に必要な物が不足していたり、業務上電子カルテを使用するため、個人情報の持ち出しができなかったり、在宅での仕事はかなり制限がありますね。 また、この状況に対応している部署の社員さんが、長時間労働にならざるを得ない状況で、その人たちの健康面が心配です。」
―なかなか在宅勤務が進まない背景には、仕事に必要な器材の数があるかとか、個人情報の問題などもあるんですね。
■個人の感染対策について
さて、ここからは、今回の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、IVUSA会員から質問を募集したので、そのことについて伺いたいと思います。
―まず、新型コロナウイルスに感染した時の症状についてどのようなものか、教えてください。
金澤「症状がある場合は、発熱、頭痛、倦怠感、呼吸器症状が主な症状です。呼吸器症状というのは、のどの痛み、咳、鼻水や鼻が詰まるといった、風邪のような症状ですね。発熱に関しては、一度37度以上の熱がでて、その後ずっと平熱の人もいますね。下痢や嘔吐については、今のところ頻度は10%未満と言われています。また、30~50%くらいの人は、無症状の人だと言われています。 」
―一般的な風邪と比べて、新型コロナ特有の症状はありますか?
金澤「風邪と似ていると言われているので、なかなか見分けがつかないようですね。不顕性感染(無症状感染)の方もいるので、強い呼吸苦が生じ、CTスキャンの所見によって疑われる場合も多いようです。」
伊藤「普段の風邪も、他の型のコロナウイルスが原因の場合があるので、初期症状は見分けがつかないというのがよく言われているようです。また、無症状や軽症の方も多く報告されていますね。」
―一言でコロナウイルスといってもいろいろあるんですね。
では、どのような場合にPCR(遺伝子増幅実験)検査を受けられるんでしょうか?
金澤「現在のところ、2つのパターンがあるのかなと思います。1つは、帰国者接触者相談センターに連絡し、濃厚接触者や帰国者でPCR検査が必要と判断されたら、指定された病院に行って検査をしてもらう。厚生労働省の濃厚接触者の定義なども参考にしてみてください。
もう一つは、一般の内科などを受診した際に、そこの先生が新型コロナの感染を強く疑う所見があった場合に、PCR検査を受けられる病院に行ける可能性があります。ただ、風邪に似ているため、感染者との接触などがないと、検査が受けづらい状況です。」
―感染を疑った際の相談窓口について教えてください。
伊藤「こちらが東京都のフローチャートです。
都道府県ごとの相談先は厚生労働省のホームページに掲載されているので、そちらを参考にしてください。」
▼ 新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター
―窓口ではどんなことについて聞かれますか?
伊藤「一般的には状況を確認するため、いくつか質問(問診)をされます。名前、年齢、住所、連絡先、発熱37.5度以上が何日続いているのか、咳などの症状があるのか、いつから症状が出ているのかなどですね。
また、基礎疾患と妊娠の有無も聞かれます。この基礎疾患については、もし新型コロナに感染していた場合、重症化する恐れがあるためです。糖尿病、心不全、呼吸器疾患、腎障害、人工透析、化学療法、生物学的製剤投与、がん治療、免疫抑制の治療などです。
他に、この2週間どこに行っていたのか、誰と会っていたのかを調査します。感染者との濃厚接触の有無や、感染が多かった地域・集団への接触など。また、三密(密閉・密集・密接)の利用の場所とか、同居者がいるのかなどを聞かれるようです。そのほか必要な情報について質問されます。」
―これらの質問・問診を通してPCR検査を受けてもらうか判断するということですね。それでは次の質問です。一番質問が多かったのですが、個人の予防についてです。
マスクの着用や手洗いうがい以外に、どんな予防があるのか教えてください。
藤本「感染経路のひとつは、飛沫(咳やくしゃみをしたときのしぶき)が、鼻や口から体内に入り、感染してしまうこと。そのため、飛沫を吸わないように距離を取ることが大切で、私も気を付けています。」
―ソーシャルディスタンスというやつですね。
藤本「そうですね。当たり前だけど、こういうふうに(テレビ電話)離れていれば感染することはないので、この『距離を取る』ということは重要ですね。」
―通勤電車はどうですか?
藤本「私も通勤のため、電車を利用していますが、幸い今のところ感染していません。電車は、窓を開けて換気をしたり、多くの人がマスクをしていたりします。また、乗客は基本的に無言ですよね。一方でカラオケやクラブ、柔道場や剣道場なんかで感染者が出ているということなので、「声を出す」ということが、リスクを高めている気がします。」
―ちなみに、外出時に触っていたスマホを、室内でも使うことで感染しないでしょうか?
金澤「私はアルコール綿で拭いています。」
伊藤「私も拭くようにしていますね。いろんなところを触った手でスマホを触っているので、そもそも汚いものですよね。」
―他には予防に関して、なにかありますか?
伊藤「換気ですね。ウイルスが空気中を漂うので、小まめに換気するのがいいですね。」
―一人暮らしの人でもした方がいいですか?
伊藤「それはコロナに関わらず、日常生活としてした方がいいと思います(笑) 」
―ですよね、ちゃんとします(笑) 他にはいかがでしょうか?
金澤「人と接触するのを減らすことですね。
人と接触することで、飛沫感染したり、接触感染したりするので。家族や仕事など、仕方のないことはありますが、人と接触しなければ感染経路を遮断できるので、接触を減らすことが大切ですかね。」
―藤本さん、補足などありますか?
藤本「スマホやドアノブなど、なにかに触れることは避けられない。さらに口や目や鼻を触ってしまうのも、無意識でやっていると直すのが難しい。そのため、何かに触れた後に手を洗うことでリスクは下げられるので、小まめに手洗いをするというのが非常に重要です。」
―マスクをつける効果は実際のところどうなんでしょうか?
金澤「WHOがマスク使用に関するアドバイスをアップしています。そこには、マスクだけでは防護効果は不十分と書かれています。不織布のマスクは、繊維が複雑に絡み合っているような状態なので、ウイルスを通しづらいですが、完全ではありません。
布マスクは網目状になっているため、ウイルスを通してしまいます。
そのため、ある程度は感染予防にもなるかもですが、どちらも、自分を守るためではなく、人に感染さないために、咳エチケットとしてつけることに効果があるのかなと思います。」
―サイズが小さいマスクでも、自分から飛沫を飛ばさないためには有効ということですね?
金澤「そうですね。」
―マスクはどんな場面でした方がいいのでしょうか?
金澤「声を発したり、くしゃみや咳をしたりしないのであれば、自分からウイルスを飛散させることは少ないですし、マスクでは感染を防ぐのは難しいのであれば、電車乗るだけ、散歩に行くだけならマスクしなくてもいいのではと、思ってしまうこともあります。
周りの人の目や飾りとしてのマスクの使い方なら、本当に必要だけど絶対的に不足している医療現場で使ってもらえるようにしてほしいなと思います。個人的な意見ですが。」
―藤本さんはいかがですか?
藤本「翔子が言っていることはその通りです。ただ、ウイルス感染の予防は、やり過ぎということはないと思っています。例えば、無意識に口元や鼻を触ってしまうことを防ぐためなど、そういった人の無意識の行動による感染を防ぐ一助にはなるとは思います。
ただ、ずっと同じマスクをしていたら、そのマスクが清潔ではなくなってしまう点も気を付けたいですね。」
―マスクも汚染されている可能性があると考えると、その取り外し方にも注意が必要ですよね。マスクを取り外す時の注意点について教えていただけますか?
伊藤「布の部分は汚いので、そこを触らないように、耳にかけるゴムの部分だけを触れるようにして外します。」
―それで取って直接ゴミ箱に捨てるということですね。
伊藤「それが基本ですね。布マスクについては、翔子さんどうですか?」
金澤「実は母が布マスクを作ってくれました。これは人と話す時などに使おうかなと思っています。扱いは不織布のマスクと基本一緒ですね。洗濯することである程度ウイルスは除去できるので、活用できると思っています。」
―普通に洗濯していいんでしょうか?
金澤「マスクをする目的が人に感染させないことであれば、衛生上洗濯した方がいいと思います。感染予防の観点では、マスク同様、服にもウイルスはついていますし、それと一緒なので、大丈夫だと思います。」
―つり革を触った手で服を触ったりしますもんね。布マスクは、消毒は必要ないのでしょうか?
伊藤「気になる方は、小さな桶などで、洗剤を使って洗って、漂白剤につけて、最後にアイロンをするという方もいますね。」
―なるほど。服はどのように扱えばいいのでしょうか?
金澤「私は仕事で人の多い駅を通ったりするので、帰宅後はできるだけ早くお風呂に入って、きれいな服に着替えて、家の中にウイルスを持ち込まないように心がけていますね。気持ちの問題ですが。」
藤本「私もそれやっていますね。玄関あけてただいまと同時にお風呂に直行しています。」
伊藤「私も感染症対策の部署にいたときは、それをしていましたね。どこにウイルスがついているかわからない状態なので。」
―どこにウイルスがついているかわからないという話に関連してなんですが、スーパーで売っている野菜とか大丈夫ですか?という質問があるんですが、いかがでしょうか?
金澤「通常、手洗いでは30秒の水洗いでウイルスはある程度落ちると言われていますので、水洗いである程度落ちると思っています。」
伊藤「あまり気にしすぎるとストレスを感じて、心の健康が心配になってきますしね。」
金澤「チェーンメールみたいな感じで、肺に入らず胃に入れば大丈夫みたいな根拠がはっきりしない情報に惑わされないように、情報の取捨選択・吟味を良くしたうえで、普通の食生活を送っていただければいいと思います。」
―離れて暮らす祖父母に伝えるべきことはありませんか?という質問があるんですが、いかがでしょうか?
伊藤「コロナに関することを伝えることよりも、普通の日常会話を日頃からすることの方がいいと思います。毎日コロナの話題ばかりだと、聞く耳も持たなくなってしまいますし、疲れちゃうと思いますので。」
―こういったときだからこそ、普段通りの会話や、普段連絡とっていない人と連絡を取るのも、心の健康として大切なんですね。
■医療に関して
―ここからは、医療に関することについて伺いますが、そもそも医療崩壊とはどういった状態を指すのでしょうか?
藤本「普段であれば、普通に受診できて、普通に診察できて、普通に検査されて、普通に診断・処置がされ、普通に入院や手術ができて、良くなったら退院できるという、この通常の一連の流れが破綻してしまうということです。
あまりにも多くの患者が病院に来ていることで、通常通りの医療が提供できなくなる。これが医療崩壊の概念なのかなと自分なりには思っています。」
金澤「普段から通院している人が、いつもと同じ医療機関に行けなくなる可能性もあります。私の姉は妊婦なのですが、例えば咳をしていたりすると、これまで通院しているところでは受診を拒否されたりすることもあります。
従業員から聞いた話では、白内障(目の病気)の手術が延期となり、困っていると聞きました。調べたら、不要不急でない手術は延期するように学会から通達がありました。医療従事者に感染者が増え、対応できなくなるという医療崩壊もあるし、この状況に対応するために通常の医療が受けられないという医療崩壊もあると思います。」
―現在の状況で、保健所は対応しきれるのでしょうか?
伊藤「PCR検査を、韓国のようにドライブスルー形式でやるという報道がありますが、そのためには当然人手が必要ですし、陽性の方がいれば14日間の行動履歴を調査し、濃厚接触者の方の健康観察をしたりするという業務も増えます。今もなお、懸命に業務にあたっている中で、感染者が今後増え続けると保健所もキャパオーバーになるのではないかと懸念しています。」
―このまま感染者数が増え続けるとどうなるでしょうか?
伊藤「そろそろ限界なのかと思っています。医療に携わっている人も人間なので、現場の人たちは疲労がたまって限界なんじゃないかと思います。
あと、検査をすればするほど、本当は陽性なのに陰性って出てしまう人も多くなってくると思うんですよね(PDR検査の性能は100%じゃないため)。そうすると陰性だからと、外に出てしまうと感染を広げてしまうと思うので、より大変な状況になると思います。」
藤本「このままだと医療従事者が体も心も疲れてしまう。人を助けるという気持ちが折れてしまうことでの医療崩壊が一番怖いと思います。」
―医療崩壊を防ぐために、私たちにできることはどんなことがありますか?
金澤「実際に、前の職場の同僚は精神的な負担も強くて、身体の不調が出ている人もいます。医療者に精神的にも身体的にも過度な負担を加えないためにも、ぜひ、自分が感染しない、人に移さないということのために、人に会わないようにすることや、手洗いを小まめにすることなど、現状でできることを強くお願いしたいです。
あとは、メディアに踊らされて消費行動が増加すると、他人との接触が増えたり、資源が不足してしまったりするので、今の環境やあるもので生活することも、医療崩壊を防ぐことになるかなと思います。」
藤本「Stay homeと言われているが、皆が家にいることが、早く元の生活に戻れる近道かなと思います。」
■全般的なことについて
―なぜこんなに世界的に新型コロナが広がったのでしょうか?2003年頃に流行したSARS(サーズ:別のコロナウイルス感染症)はこれほどまで広がりませんでしたが。
藤本「今回の新型コロナの正体が何者なのかまだはっきりしていないので、なんともわかりませんが、SARSよりも強いウイルスなのかもしれないということと、飛沫感染するので人の動きを止めることができなかたことが、大きな原因の一つなのかなと思います。」
―感染のピークってどういう意味なのかという質問があるんですが、アメリカはピークを超えたというようなニュースがあります。ピークというのは、感染者数がそれ以上増えないという頂点になったところがピークですよね?
金澤「そうですね。」
―一方で、第2波、第3波が来るんじゃないかという話もありますが、自粛が緩んで、外出をしてしまって、また感染が広がると考えた際に、ピークはいつになるんでしょうか。
金澤「感染者が増えた後に、減少する時期があり、その後また増えてきて、また減って、また増えて・・・という波のような状態になると思いますが、波が完全になくなるのはまだまだ先だと思います。
世界的に緊急事態宣言が解除されてくると、国を越えた移動が増えるので、第2波、第3波というのはくると思います。今後国境をまたぐには、新型コロナの抗体があるという証明が必要となるとも言われています。」
―今の段階では終息の見込みが立っていないということだと思いますが、どういう状態になったら終息といえるのでしょうか?
伊藤「SARSのときはある程度限られた地域での流行だったので、その地域や国で感染者が減ったことで終息しましたが、今回は世界的な広がりなので、一部の地域で減っても、他の国に感染者が出続けていたら、また広がる可能性はありますよね。
世界的に感染者数が減ってきたときに、人の移動が増えてどうなるか次第ですね。」
―ワクチンや治療薬の開発はいつ頃になるのでしょうか?
金澤「開発が進んでいるという話は聞いています。しかし、海外で作られた薬も、日本で作られた薬も、治験などをして認可されるまでに時間がかかってしまいます。特に日本は時間がかかるので、日本でその薬が承認されるまでに、1年以上はかかるんじゃないかという話がありますね。」
―障がい者や介護が必要な方などに対してできることはありますか?
伊藤「共通して言えることは、感染を広めないということに尽きると思います。ニュースなどでは、聴覚に障がいをお持ちの方にも情報が伝わるように、手話などで伝えているところもありますよね。」
―聴覚や視覚に障がいをお持ちの方は、情報にアクセスしづらいと思うので、そういった方が身近にいらっしゃるのであれば、今日皆さんに話していただいたことなど、正しい情報を伝えるというのが大事ですよね。
■まとめ
―最後に、この危機を乗り越えていくために学生に向けメッセージをお願いします。
藤本「IVUSAの学生は、非日常的な現場に行くというのが、一般の大学生よりは慣れていると思います。被災地に行ったり、海外に行ったり。そういう意味においては、今の状況もIVUSA学生は乗り越えられる危機なんじゃないかと思っています。
この危機を脱するためにも、一人ひとりが、今できることは何かということを考え、自分が罹らない、他人にうつさないということが、医療崩壊を防ぐことにもなり、一番大きなことです。自分たちが元気でい続ければ、普通の生活に戻ったときに、IVUSAの学生の出番が来ますので。
私たち3人は、こういう状況の時は居ても立っても居られない人間ですが、現在の仕事は人を直接助けるという第一線から離れています。私たちのような人が、第一線に行かざるを得ない状況にならないというのが、一番良いと思います。しかし、もし第一線に呼ばれるようなことがあれば、全力投球できるように、今は自分が罹らないようにすることが仲間のためだし、まわりに迷惑をかけないようにしたいと思っています。
また子どもと一緒に過ごす時間が増えたり、こういうオンラインで話す機会ができたりするのは、こういう時期だからこそできることなのかなと思いますので、こういう時だからこそ、人と話すことを大切にしたいですね。」
金澤「一番呼びかけたいのは、感染を広げないことです。
私は正直自分がコロナに感染することへの恐怖はないけど、家族や身近な人に移してしまうことが怖いです。そして感染することで医療者に負担をかけることが申し訳ないという思いがあります。それを防ぐために、人と接触しない、手洗いをするなどの感染予防策をしっかりやっていきたいと思っています。
学生の皆さんも普段からやっているとは思いますが、それを続けて欲しいです。また、人との関わりを持ち続けることが大切だと言われているので、オンラインツールを使って、離れている家族や友人と連絡を取って、社会的な接触を保ち続けることが大切です。通常の生活に戻れるように、それぞれができること、頑張っていきましょう。
また、私も藤本さんと一緒で、いても立ってもいられない人間なので、前に勤めていた病院の人と連絡を取りCovid-19に関する情報収集をしたり、今の職場でもいつでも対応できるように体制を整えてもらったりとか、自分にできることをしている状況です。」
伊藤「感染症って目に見えないものなので、なかなか危機感を持ちづらいと思います。
でも、若者も0.2%の死亡率って言われています。数字だけ聞くと自分には関係ないと思われる人も少なくないと思います。
でも山中教授(京都大学iPS細胞研究所所長)が、「皆さんは500回に1回事故を起こす車に乗りますか?」って言っていました。こう考えると意外と他人事じゃないですよね。
学校行けないとか、この状況下で仕事ができない、この状況下だけど仕事に行かないといけないなど、学生も大人も子どもも、みんないろんなストレスを抱えています。
こういう状況だと、他罰的になり、誰かを責めたくなってしまいます。これは、誰かのせいにすることで、自分を保つというようなことです。なので、こんな時だからこそ、ありがとうと言ったり、人とのつながりを大切にしたりしてほしいと思います。
今は、世界的な災害が起きているのと同じだと思います。この危機を乗り越えた経験は、いつか皆さんにとって、人生の肥やしになると思いますので、情報の取捨選択と、人とのつながりを大切にしてもらえたらなと思います。」
―皆さん、本日はありがとうございました。
0コメント