IVUSAは「国際ボランティア」学生協会なので、国際協力の活動がメインのように見えますが、実際は夏は環境保護、春は地域活性化の活動に押され気味。
そこで、今年の夏プロの「海外隊」をスポットライトを当てて、「フィリピン減災・環境保全活動スタディーツアー 2019 」「第15次中国緑化活動」 のプロジェクトマネージャーにお話を聞きました!
■参加者の紹介
国士舘大学政経学部経済学科4年相馬佑行
「第15次中国緑化活動」プロジェクトマネージャー
北海道出身ですが、魚介類が苦手です。現在東南アジアに関する研究をしています。高校の頃は少林寺拳法という稀な部活で週7で部活をしていました。
群馬県立女子大学文学部英米文化学科3年の近藤里咲
「フィリピン減災・環境保全活動スタディーツアー 2019 」プロジェクトマネージャー
千葉県の大網出身で、九十九里清掃で泊まる白子荘の近くです。高校では、吹奏楽とオーケストラとマーチングをしていました。
―それぞれの活動を簡単に紹介していただけますか。
相馬 中国緑化活動は世界共通の問題である環境問題に挑戦し、「近くて遠い国」と言われる中国と日本。両国の学生が環境問題を通して相互理解を深め、日中友好の促進と発展を目指す活動です。
この活動は15年前、中国黄土高原緑化プロジェクトという名前で第一次プロジェクトが始まりました。 この一次隊が始まるまでに3年間かけて計画して作られたプロジェクトです。 ですので、18年前の先輩たちからの想いも背負って今年も中国で活動することに誇りを持ってます。
(朋友ロード(レンガ道)が完成したときの様子)
近藤 フィリピン減災・環境保全活動は、2013年にフィリピンで観測史上最強の台風ヨランダによる大きな被害があり、その後の災害復興支援活動がきっかけで始まった活動です。 少しでも災害に対する備えがあれば、救える生命があったのではないか、という想いから、地元民にまずは防災を意識してもらい、自分たち主体で動いてもらうことを目的に活動をしています。 また、災害が多発している背景に気候変動などの環境問題があることから、環境問題に対する啓発も兼ねて清掃活動や植林などにも取り組んでいます。
(たくさんの子どもたちと)
―アプローチの方法は違いますが、両方とも環境保護がメインのテーマなんですね。
おふたりは今回プロマネを務める活動に以前も参加されたそうですが、参加しようと思ったきっかけは何なんですか?
相馬 国際ボランティア学生協会に所属しているのに、国際系ボランティアをやらないで卒業したらもったいない気がしたんです。あと去年のプロマネが自分が一年生の時からずっとお世話になっていて、そんな先輩の最後の夏プロを先輩の近くで見たいと思ったからというのもあります。
近藤 私は大学の専攻が英米文化学科で、もともとは活動での交流を通して、海外の文化や現地の人の価値観を知るためにIVUSAに入りました。 去年の大阪府北部地震や、西日本豪雨などIVUSAで災害救援活動が実施されたものの、私は家庭の事情で行くことができませんでした。そのとき現地の状況に対して傍観することしかできなかった後悔から、減災に興味を持ちました。 そして出会ったのがこの活動です。
相馬 近藤さんは、現地での活動中にびっくりしたことや、心に残ったエピソードとかはありますか?
近藤 フィリピンで高校の防災教育の企画をする際に、現地の高校生からの催し物があったのですが、歌の上手なお兄さんのパフォーマンス中、たまたま最前席で見てたらステージまで連れてかれてバラを渡されちゃったことですかね(笑)。 その場にいたIVUSAメンバーにすっごい笑われて恥ずかしかったです。 後から写真見返したら、腰が引けててそりゃ笑われるわなと思いました(笑)。
…ちなみに相馬さんは?
相馬 中国は歴史の学ぶ過程が日本と違うと思ったことですね。 中国人民抗日戦争紀念館へ行った時のことです。自分の主観になるんですが、歴史博物館に行くのは、よほど興味のある人か、学校の行事や団体旅行がメインではないでしょうか。また、偏った見方であれば申し訳ないですが、学生にとって「歴史を学ぶ」ということは、他の教科と同様に「テストで良い点数を取る」というのが目的になりがちかと思います。
ですが、中国のその記念館では家族で来ている人が多くいました。何を話しているのか分からなかったですが、写真を一枚一枚丁寧に親が子供に説明している家族を多く見かけました。 学校で教科書を通して学ぶより、実際に博物館へ行って親から学ぶことで記憶に残りやすい気がするし、こうやって歴史が伝承されていくんだと思いましたね。ただ、これによって反日感情が受け継がれていくのかとも思いました。
その後、北京の学生と反日に関して話をしました。その時に言われた言葉が、「親は親。自分は自分。自分が実際に見て、考えて悪いかどうか判断する。だから親が反日であっても自分は違う」ということを聞き、その考え方を学ばないといけないなと思いました。
近藤 なぜ中国隊のプロジェクトマネージャーをやろうと思ったのですか?
相馬 一つは去年、自分が気づいたこと(さっきの心に残ったエピソードを含め)を、自分が作るプロジェクトで参加する方々にも発見してほしいと思ったからですね。 そして、昨年行われた中国緑化活動でプロジェクトマネージャーを務めていた戸川雄策さんにお世話になったからです。
戸川さんは同じクラブで自分が1年生の4月からずっとお世話になっていて、戸川さんがリーダーをしたら自分も次のリーダーをやることが多かったです。あとは悩みも聞いてくれてかっこいい先輩でした。そんな戸川さんへの憧れもありますかね。
(世田谷クラブの3世代がそろったので記念に撮った写真)
近藤 そういえば、相馬さんは東南アジアの国で新しい事業を開発したいと仰いました。何を企てようとしてるのか教えてもらえませんか?
相馬 インドネシアですね。 話が長くなりますよ(笑)
企てようとしていたのは、精神障害者や身体障害者とさまざまな場所を訪れるというボランティア活動です。 インドネシアには障害をもった子を産んだ家族はその存在を消すために施設に幽閉する慣例があるとされています。施設でも一年中、外に出ずに過ごしているのです。
2年前に大学の講師に誘われてインドネシアに行きました。その時、施設の職員と思われる人と話す機会があり、「この子たちは数年ぶりに外に出れて嬉しいみたい」と仰ってたんです。そこからIVUSAで何か出来ないかなって考えてました。
近藤 相馬さんが事業開発するなら行こうかなって思ってるので(笑)。 進捗、楽しみにしています。
相馬 ところで、フィリピンでは現地の人とは英語で会話するのかな?中国だと田舎に行くと英語も通じなくてびっくりした経験があったので。
近藤 基本的に英語です。とはいえ、タガログ語が母語なので、日本人と同じく英語の得意不得意はあります。簡単な英語でできるゲームとかをして仲良くなったり、日本語・タガログ語を教えあったりしました。
(右端が近藤さん)
―今回はどんな隊にしたいですか?
近藤 今回はスタディツアーという形なので、スポンジのように知識をたくさん吸収したいですね。そして、次のステップに持っていくために、この活動の意義を考えながら自分たち自身のモチベーションを磨きあげるような隊にしたいです。
言葉を変えると、隊員が自分の興味のある分野や、やりたい・やったほうがいいと思ったことを企画・開発したり、自分の力で行動できるようにさせたいです。
私は、クラブ役員としてIVUSAを見たときや活動に行くたびに、IVUSAの中には、活動をもっとこうしたいといった自分の感じていることをなかなか表に出せない人、向き合うことを後回しにしてしまう人が多いと感じています。せっかくいろいろなことを学んだり、意見をいう機会が十分にあるのに…。
私のハングリー精神をがつがつと押し付けたいわけではないけど、この隊で何か感じたことを、少しでも隊員の今後の活躍の動機にしたいです。
また今回のメンバーは、スタマネの山根くんと事務局の伊藤さん以外、つまり一般隊員は全員女子です。規模感も小さく、IVUSAの中ではなかなか珍しい隊だと思います。フィリピンの空気感やフィリピン人との交流をまずは楽しんでもらうことで、フィリピンにさらに興味を持ってほしいです。
相馬 シンプルですが、「平和ってどんな世界で自分たちは何をすべきなんだろう」ということを考えられるような隊にしたいですね。
植林活動という枠にとらわれず、両国の学生同士が共に汗を流し、お酒を交わし、互いを知れるのがこの活動です。何のしがらみもない学生同士だからこそ1人の友人という関係で接することができるんです。そしてかけがえのない「朋友(友人)」となるという、 約20年前から続く先輩達の想いをつないでいきたいと思います。
0コメント