見る位置や角度によってエメラルドグリーンやコバルトブルーに見える海。
抜けるような真っ青な空と夢のような白い砂浜。
きっと何万年も何十年前の大昔から変わらずこうだったに違いない。
いや、私はあまりそういう事に感激するタイプではないですよ。
沖縄本島にはよく行くのですが、沖縄本島とはまた違った景色なので、精一杯表現してみました。
ただ、この石垣島のきれいな海、石垣島の全てがそうかと言うと、実は半分以上はそうではありません。とくにここ10年、常に浜に打ち上げられるゴミのせいで、このきれいな海が台無しになっています。
石垣島のある八重山諸島は、日本近海を流れる海流の玄関口になります。 特に南沙諸島方面からの海流に曝されている事が影響し、アジアっぽい字がかかれているモノがよく打ち上げられています。
漢字なら中国や台湾かなと分かるのですが、何が何だか分からない線がウニョウニョと意味ありげに書かれていて、「見つけた人に金一封」と書かれていたとしても分かりません。
また、台風もよく通るので、そこそこデカいモノのでも盛大に浜に打ち上げてくれます。
流れ着く大きなモノの代表格は漁師さんが使っている漁具。結構国毎に特徴があるみたいで、見る人が見るとドコの国か分かるみたいです。外国の漁具の中には危険なリンを使用した物もあり、これも回収時の危険性が問題になります。
日用品ではペットボトルがやっぱり多いです。たまに黄色い液体が入っているのは、オシッコだったりするそうで強烈な臭いを放つそうです。何でこんなモノに入れているのだろうか。
地元の人もこまめにビーチクリーンを行っていますが、手が回りきっておらず、観光客がよく訪れる浜以外には、どんどん漂着ゴミが溜まって行っています。
ここ10年で石垣島に漂着するゴミの量が増えたのは、アジアの経済発展が大きく影響しています。大量消費が出来るようになりましたが、環境負荷という感覚はまだ薄いです。かく言う日本も「化石賞」を取ったりして大差無いことはよく自覚しておくべきですが。
流れ着くモノの素材はほとんどがプラスチックや発泡スチロールやビニールなどです。製造コストも安くそこそこ丈夫で便利なのですが、この「そこそこ丈夫」というのが問題で、そこそこ壊れて行くくせに、そこそこ残るので、これを食べた生物の中に蓄積されていく、いわゆるマイクロプラスチック問題が起こっています。
海のど真ん中を漂流しているゴミを回収するのは難しいのですが(失敗に終わりましたがクラウドファンディングで40億集めて取り組んだ欧米の高校生もいました)、陸に上がったモノはせめて回収して海洋中のプラスチック量を減らす、ということでゴミ拾いをしています。
でもやっぱり、どこか頭の片隅で、きっちり捨てればいいのではない、拾えばいいのではない、もっと他に方法はないものか、という声がします。遊んでるんじゃないんだから、川の上流から笹船を流して下流で拾うのとは訳が違います。上流で止めなければ終わらず、今私達が立っているこの場所も誰かの上流であるわけです。
IVUSAでは今年 Youth for the Blue と銘打ち海洋漂着ゴミ対策に取り組んでいます。その手段としての活動はゴミ拾いから始めているのですが、根底に流れているのは海洋自然環境の保護や生態系の保全であり、マイクロプラスチック問題の対策です。
結局、この問題の根本的解決はゴミ拾いではなく、蛋白質繊維といった生分解素材など新素材の登場と実用化を待たなければいけないのかも知れません。それまでは、ゴミ拾いで悪化を食い止め続け、世界の環境意識も高めながら、海洋プラスチック量の増加を抑え、本命の解決策に繋げていくことなのかも知れません。
USE PLASTIC NO LIFE
プラスチックも使われ始めてたかだか100年しか経っていません。
エネルギー問題同様に、環境負荷の少ない新素材の登場を、地球環境だけでなく、投資家も待っています。もはやニーズではなくウォンツになりつつある新素材、産業化して広めて行くことは誰にとってもwinのはずで、海洋プラスチック対策をしている私達が積極的に声を上げて、新素材産業と共闘していくことが私達に求められていることではないか。
量産実用化展開の資本が無いだけなら、私も微力ながらポケットマネーを出すんだけどなぁ。…なんてまた、グレタちゃんに聞かれたら怒られそうな話なんですが、地球環境を良くする一攫千金って夢ですよね。…そんなことをぼんやりと、石垣から那覇に向かう帰りの飛行機の中で妄想していました。 機内のディスプレイはひたすら沖縄県内各地の泡盛の宣伝で、見てるだけで思い出し酔いをしそうでした。
【この記事を書いた人】
IVUSA事務局 山崎 努
IVUSA11期卒でシステム担当。山形、利島、沖縄、石垣や、ネパールの活動など、離島や陸の孤島の担当が何故か多い。普段は三軒茶屋のキャロットタワーに常駐。
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