ロジ入門vol.2  アドとは?



■なぜ「ロジ入門」で“アド”??

まずは読者のこの疑問に答えてから、本編に入っていきたいと思います。  


ロジ入門の最初の記事「ロジとは何か?」でもあったようにロジスティクスとはもともとは軍隊用語で兵站と訳されます。 


兵站とは、作戦計画に従って兵器や兵員を確保し、管理し、補給するまでの全ての活動のことで、前線で戦闘に従事する前方業務に対し、後方業務または後方支援と呼ばれる業務領域を指しますが、この本来の意味で言えばIVUSAのプロジェクトチームで言うところの“アド”と“ロジ”を合わせたものが「ロジスティクス」ということになります。


実際のところ、例えば大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に駆けつけ活動をする災害派遣医療チーム(DMAT;Disaster Medical Assistance Team)には、事務調整を担当するロジスティクス担当者がチームの一員として入ります。そのロジスティクス担当者の担う分野は、「通信、移動手段、医薬品、生活手段等の確保」のほか、「活動に必要な連絡、調整、情報収集」も含まれ、イメージとしては、IVUSAのプロジェクトチームでの“ロジ”と“アド”を足したようなものになっています。


ということで、ロジ入門では後方支援全般のことを紹介するものとして、“アド”についても紹介していきます。  



■“アド”とは

アドとは、アドミニストレーション(Administration)を略したもので、そのまま辞書を引くと「統治・行政・管理」という言葉が出てきます。 経営資源で担当範囲を整理すると、下図の緑色着色部分。「カネ」「情報」がそのマネジメントする範囲になります。



経営資源とは、経営学用語の一つであり、「企業が経営を行う上で利用できる有形あるいは無形の資源。人的資源・物的資源・資金力・情報・商標・信用などの総体」(大辞林)」という意味のものですが、そもそも“経営”という言葉の意味が「事業を営むこと。また、その運営のための仕組み」も指します。IVUSAでのプロジェクトの運営にあたっても、この概念で整理するとわかりやすくなります。 


IVUSAはそれぞれのプロジェクトなどでひとつの目的を定め、その達成のためにチームを組み動いているわけですが、その実働にあたっては、「自分たちが持っている資源には何があるか」を認識した上で、必要な資源の調達と、目的達成のために効果的な資源の運用をする必要があります。


そのため、そのマネジメントに抜け漏れが出ないよう、アド・ロジ・スタという三面で担当者を付け、チームの経営資源をマネジメントし、チームの目的達成に向け必要な準備や実働を執り行うという仕組みになっています。 




■プロジェクトでは“アド”は何をしている? 

話は“アド”に戻って、前述のマネジメント対象である「カネ」「情報」の管理にあたってどのようなことをしているのかを紹介していきましょう。 先ほどのマネジメントする対象の図に対応させると、だいたい下記のような範囲にて、各セクションは分布しています(活動によるマネジメントの仕方の違いで微妙に違ったりすることもあるため注意)。 



 各役割について、ロジと同じように写真を入れて紹介したいところなのです。 が、残念ながらアドの人たちはやっていることが画的に地味だからなのか、撮る側だからなのか、その実働風景を写真に写してもらえることはあまりありません(泣) 

自分の実働風景写真を持っているアドの方はぜひお寄せください。 ということで、会員ページで紹介している「ジョブパンフ」からイラスト・記載内容を借用してご紹介します。




 【会計担当者のお仕事が見える場面・場所】パソコンの前(画面には会員ページ)、活動中ミーティングなどが全て終わった後の作業部屋(立替精算準備と対応、残金確認・帳簿打ち込み・使途不明金が出ていないかチェックしている)、活動終了後の事務所(会計の締め作業をしている) 


【今後アップデート予定の記事】IVUSAの活動の会計の仕組み(公益と共益)




 【会員管理担当者のお仕事が見える場面・場所】パソコンの前(画面にはExcel)、活動集合地点集合時(バインダーに名簿をはさみ遅刻・早退などをチェックしている)、活動中ミーティングなどが全て終わった後の作業部屋(会計担当者の作業補助、出欠遅刻早退状況の名簿反映と翌日対応事項のチェックなどをしている)、参加者連絡ツールの画面(事前・事後の各種連絡時に文字で) 

【今後アップデート予定の記事】1,000人になっても大丈夫!正しく・早く・美しく、会員管理術(仮) 





【広報担当者のお仕事が見える場面・場所】事前・事中・事後の集合写真を撮影する隊員の前、パソコンの前(画面には写真データもしくはWORDもしくはSNS)、活動中ミーティングなどが全て終わった後の作業部屋(その日の撮影写真の集約、一日分のブログレポートの作成をしている) 



 【渉外担当者のお仕事が見える場面・場所】電話やFAXの前(事前・事後の企業への電話かけ、資料送付)、事中の隊員たちやSNSへの協賛品の紹介


※用語説明※ 

PT・・・プロジェクトチームの略。活動中は全員が「活動をつくるもの」として隊員と呼ばれますが、事前・事後からその活動の成功のためにチームを動かす立場の人、もしくは、プロジェクトチーム内のセクションを指して使う用語です。




■アドに向いている人 

昼はフツーの隊員、夜はアドメン∠( ‘ω’)/ 

という、どこかのヒーローかのようなお仕事となるのがアドです。 

立てたやり方の段取りが悪いとその作業は深夜まで続くことも。。 

ただ、自分が立てたやり方がバチッとはまった時の快感は最高です。  


単に作業員になってしまったら、細かい作業が好きな人にだけおもしろい部署になるかもしれません。 しかし、先を読み、自分がどのように他者に働きかけたりして伏線を張り、動くかということを考えること。これはそもそもどの部署であっても必要なことではありますが、その結果が成功か失敗か、感性に左右されずにはっきり出るのがアド分野。 


明確な目標を設定し、その達成に向けて様々なことを考えながら具体的な行動を起こすことができる(もしくはそうになりたい)人にはもってこいの分野です。 


なおかつ、社会的信用・信頼に影響してしまうものを扱う分野であるからこそ、その重さに使命感と矜持を持って取り組んでくれる方にぜひやっていただきたいです◎  




■アドで大切なこと 

「カネ」にしても「情報」にしても、そこに不備が出ると社会的信用・信頼に影響してしまうのが、アドミニ分野。 尚且つ、「残金があるべき金額と会わない」など、何か起きてからではリカバリーが効かないことが多いです。


 つまりは、「事前準備がすべて!」 だからこそ、アドミニ分野を担当する場合は、事前に「自分の為すこと、為さないことによって何が起きえるか」を予測した上で予防措置を取ることが一番のお仕事になります。「きっとこんなことは起こらない」そうした楽観や性善説を元にした対応では、誰かにリカバリーの効かない過失や、ともすれば罪を犯させてしまうことになりかねない。


だからこそ、アドの他者への優しさは「人は間違いを起こすかもしれない」という「性悪説」に基づき思考し、動くことによって表現される…。

世知辛いように感じるかもしれませんが、アド担当者はこれがアドの優しさであることを理解した上で起きえることを先読みして予防をしていくこと。そして、アド担当者でない方はその優しさをご理解ください・・・!!





この記事を書いた人


IVUSA事務局大坪英里奈

IVUSA17期卒で関西事務所勤務。子どもの教育支援事業や新潟県関川村・三重県熊野市での地域活性化活動を担当。プロジェクト・組織マネジメントでの業務分野としては“アド”をこっそり担当しつつ、学生組織運営のサポートもしている。

 (写真:プロジェクト帰りに学生たちがプレゼントしてくれたバースデーケーキとともに)


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