大学を卒業し、都市部でサラリーマンとして働く人が「ふつう」の今、地方で第一次産業や地域活性化にかかわるという「オルタナティブ」な生き方をしているIVUSAのOB・OGを紹介するこのシリーズ。8人目は、伊豆諸島の新島にUターンし、焼酎作りの会社で働きながら、1992(イチキューキューニー) byニイジマサイダーという雑貨店・サイダー屋を運営されている櫻井浩司さん(22期・東洋大学出身)です。
Q.新島に対する郷土愛が強いですよね。
新島で生まれ、高校までずっといたので地元愛は強いです。
自然も豊かですし、伝統芸能も多いです。ユネスコの無形文化遺産に指定されている「大踊」や、5人で獅子舞を踊る「獅子木遣」などが有名ですね。私も2019年に獅子木遣の先頭の獅子の頭を振る役をやったのですが、重くて大変でした。(笑)
「風流踊り」の一つの「新島の大踊」については以下のサイトを参照ください。https://www.niijima.com/facility/community/hakubutsukan/news/2022-1217-1103-48.html
保存会もあるのですが、今は人が減ってきて高校生や学校の教員も手伝っているような状況です。
Q.IVUSAではどんな活動をされていたのですか?
もともと生徒会でユニセフ活動をしていて、社会福祉や介護にかかわっていきたいと思っていました。
それが東洋大学の国際地域学部に入ることになって、国際協力や貧困問題にも関心を持つようになり、IVUSAでもインドや九十九里、東日本大震災復興支援、栃尾などの活動にかかわってきました。
インド6次隊にて
「新島プロジェクト」ということで、自分が所属していた東洋大学のクラブ(現東京白山クラブ)のメンバーで新島に行って、焼酎を作るための麦踏みをしたり、観光したりする活動をしました。
他にも、南海トラフ地震の新島の被害想定が発表されたのですが、2,000人の人口のうち1,300人が犠牲になるという衝撃的なものでした。35メートルの津波が12分で到着するというシミュレーションもあって、これは何とかしないといけないと思い、夢企画(新規企画コンテスト)で新島の防災のプロジェクトを提案しました。
Q.新島にUターンしたきっかけを教えてください
大学のときから、某飲食店チェーンでずっとバイトをずっとしていました。結局大学は中退したのですが、その後もずっとそこでバイトしていました。朝のオープンから夜中のラストまで入ることもしばしばで、体力的には正直きつかったですね。
そんな中、新島の知り合いで村議会の議員になった人がいて、その人から島コンをするので手伝って欲しいと言われたんです。そうやって島にかかわるようになっていったのですが、そのうち島焼酎を造っている蔵の社長が工場長を募集しているということで、「島に帰ってくれば」と誘われました。その場で即面接という流れになり、2016年9月に島に戻りました。と言っても、焼酎造り関しては今も見習いです。
焼酎造りの様子
新島の景勝地・羽伏浦海岸の爽やかなイメージをコンセプトに、
すっきりとした香りと口当たりに仕上げた麦焼酎
Q.ニイジマサイダーとはどんなお店なんですか?
新島でお土産といえば「焼酎」や「くさや」。焼酎だけでなくサイダーも作ったらどうかと思って、社長に提案しました。そしたら、「浩司が個人事業でやったら良いんじゃない?」と言われて、2021年の8月くらいから始めたんです。
「はじまりのサイダー」という商品名は、今までなかった飲料水のお土産の「はじまり」という意味もありますし、新島での新しい出会いの「はじまり」のそばにこのサイダーがあって欲しいという思いも込めています。
サイダーのデザインのもとになった羽伏浦海岸のメインゲート
あと、新島の私の自宅は昔、母が雑貨屋をやろうと考えていて、カウンター付きの部屋がありましたので、そこで雑貨屋を始めました。さらに駄菓子バーや飲めるようなスペースも設置しています。平日の夜や土日はそちらを運営しているので、休みはないですね。(笑)
Q.学生やOB・OGにメッセージをお願いします。
地方で暮らすというのは、最初の一歩は確かに怖いかもしれません。不便なところもありますし、知らない人ばかりでしょうから。でも新島で言えば、地域の人たちはとても歓迎してくれるし、可愛がってくれます。
ぜひちょっと勇気を出して踏み出してください。
新島はずっと飲食店や宿がすくなかったのですが、ここ最近でずいぶん増えてきました。サウナ付きの一棟貸しのゲストハウスやカフェができるなど、新しい試みをしようとする人がたくさんします。
観光客に対してもオープンでウェルカム状態なので、ぜひ遊びにきてください。
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