バーチャルOB・OG訪問 ~オルタナティブな選択をした先輩 その7~

 大学を卒業し、都市部でサラリーマンとして働く人が「ふつう」の今、地方で第一次産業や地域活性化にかかわるという「オルタナティブ」な生き方をしているIVUSAのOB・OGを紹介するこのシリーズ。7人目は、「ないものはない」というキャッチコピーや島留学で有名な島根県海士町で、新卒から社会福祉協議会で福祉にかかわってきた畑中咲貴さん(24期・龍谷大学出身 旧姓:有友さん)です。


島留学に関しては

https://otona-shimaryugaku.jp/

をご覧ください。


Q.学生時代はIVUSAでどんなことをされていたんですか?

 国際協力から災害救援まで興味のあるいろんな分野で活動しました。印象に残っているのは、1年生の時に参加したカナダでの東日本大震災の震災瓦礫の撤去作業や、4年生の初めに起きた熊本地震に対する復旧支援です。熊本地震の救援活動に関しては、発災後1か月以内に参加したこともあり、先遣隊として地域の方と話しながらニーズを調査しました。

 私は大学で福祉を勉強していて個別支援に関心があったので、自分自身にとってもすごく学びになった経験です。



熊本地震への募金活動



オオバナの活動の様子


Q.どうして新卒で海士町に行こうと思ったんですか?

 もともと高齢者とかかわることが好きで、福祉の仕事をしたいと考えていて、学校の先生からも向いていると言われていたんです。海士町を選んだのは、社会人一年目の何のしがらみもない時期に、興味のあった島暮らしというものを体験したみたいと思ったからです。

 大学4年生の夏に、海士町での福祉をテーマにしたスタディツアー参加しました。ツアー自体は3日だけだったのですが、その後、一週間くらい島の旅館にインターンをさせてもらいました。

 日中、移住者の人と交流し、普段の生活の様子を見たりしたのですが、山に近いところで育った私にとって、海自体が異世界でした。大学も琵琶湖の近くで、広い水を見るのも好きだったこともあって、福祉の仕事もできて、島暮らしもできるということで海士町の社会福祉協議会に就職しました。


(その時のツアーの様子はこんな感じでした)



Q.社会福祉協議会では具体的にどのような仕事をされていたのですか?

 社会福祉協議会では、子どもから高齢者まで困りごと、心配ごとを聞く総合相談を主に担当していました。

 相談内容としては、Iターンしたけど身寄りがなく、お金もなくて食べるものがないとか、高齢者で足腰が弱くなって出かけることができないとか、離島に憧れて移住したけど周囲の人たちと馴染めずに孤立しているなど、様々です。

 他にも、民生児童委員と一緒に地域を見回ったり、学校で福祉教育の授業をしたり、ボランティアセンターのコーディネーターを務めたりしました。


 海士町は島留学、島体験で来る人が増えていて、毎年100人くらい来ていると思います。

ただ、人口は横ばいです(地元の人は減っている)。もともと新しいことに挑戦しようという意識が強いまちで、社会福祉協議会としても比較的自由にさせていただきました。


社会福祉協議会での仕事の様子



Q.暮らしはどうでしたか?

 最初の一年目は正直、かなり期待と現実の間のギャップを感じました。メディアや人の話を聞くと、当然いいところを全面に出されますし、成功事例が今も続いているように思っていたのですが、実際は移住してみないと分からないですね。

 もともと海士町では1~2年くらい暮らそうと考えていました。その間、専門職としても成長したいと思っていましたが、社会福祉協議会のスタッフも少ないので、一人で行う仕事の幅が広く、何でも自分で考えて動く必要がありました。結果的には6年続けてみて力になっていたと思いますし、島の人たちが喜んでくださる度にやりがいを感じました。


住んでいた家



 専門的な知識は、出張で本土の研修に参加させていただいたり、オンラインで資格を取ったりするなどして身につける事ができました。離島のハンデを感じたことはあまりありません。

 また、地域の人との関係も良くしていただきました。移住してからシェアハウスに住み、シェアハウスのハウスマスターとゲストハウスの運営もしていたのですが、仕事との両立が大変な時に「大丈夫か?」と声をかけてくれたり、魚や野菜をお裾分けしたりしてくれて、かなり助けられました。

 ただ、プライベートはほとんど無く、今日誰とどこにいたか丸わかりです。一人で休みたい時にも家に来られるなど大変なこともありました。

 私は3年目くらいに結婚して、隣の島(西ノ島)に住んだので適度な距離が出来たのも良かったかもしれません。



Q.学生やOB・OGにメッセージをお願いします。

 合う・合わないは移住してみないと分からないし、運もあると思います。離島暮らし自体のハードルは下がっているので、気軽にオンライン移住説明や、ツアーに参加してみて肌に合うか感じ取ってみることをお勧めします。島暮らしが一つの選択肢になると嬉しいです。

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