※この記事は2021年8月25日のものです。
新型コロナウイルスの変異株であるデルタ株は、中国武漢で初めて確認されたオリジナルに比べ、感染力が約2倍あるとされ、日本でも急速に拡大しています。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000820160.pdf
全国的に感染が広がっている中、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されていますが、感染者数等は減少する兆しがありません。
IVUSAも8月、9月に予定していたほとんどの活動が中止・延期を余儀なくされましたが、会員の皆さんにとっても大学生活・日常生活など大きな影響を受けているかと思います。
私たちができる限り不自由なく、生活できる社会にしていくために、今、私にたちにできることのひとつとして、あらためて基本的な感染対策を徹底することかと思います。
今回、基本的な感染対策についてまとめましたので、参考にしていただければと思います。
1.【マスクについて】ポイントは不織布マスクをW字折り
2.【手洗いについて】効果的な手洗いをして、ウイルスを100万分の1にしよう
3.【手指消毒】アルコールは15~30秒乾かない量を使おう
4.【換気】換気は室内の空気を屋外に出すこと
1.【マスクについて】ポイントは不織布マスクをW字折り
※この記事は、身体的理由等で不織布マスクの着用が困難な人に、不織布マスクの着用を強要するものではありません。
※また、いかなる場合でもマスクを着用することを勧めるものでもありません。
新型コロナウイルスの感染経路として飛沫感染があります。飛沫感染とは、ウイルスを含んだ飛沫を吸い込んだり、目・鼻・口の粘膜に付着したりすることで感染することを言います。
マスクには、飛沫を飛ばさないようにする効果と、吸い込むことを防ぐ効果があります。この効果は、マスクの種類や着用方法次第で大きく変化します。
■マスクは種類ごとに性能が違う
新型コロナウイルスの感染が拡大し、マスクを着用することが当たり前になって久しいですが、皆さんはマスクの種類ごとの性能についてご存じですか?
※富岳コロナ対策プロジェクト飛沫感染チームが発表した資料をもとに作成
このように、他人に感染させてしまう可能性を示す吐き出し量(飛沫を飛ばす)も、自分が感染してしまう可能性を示す吸い込み量(飛沫を吸い込む)についても、不織布マスクが布マスクやウレタンマスクより優れていることがわかります。
■不織布マスクの中でもいろいろある
また不織布マスクは、VFE、PFE、BFEなどの基準があります。
・VFE(Viral Filtration Efficiency):ウイルスろ過効率
約0.1㎛~5.0㎛のウイルスを含む粒子をどれくらいろ過(捕集)できるかを表す
・PEF(Particle Filtration Efficiency):微粒子ろ過効率
約0.1㎛の粒子をどれくらいろ過(捕集)できるかを表す
・BFE(Bacterial Filtration Efficiency):バクテリア(細菌)ろ過効率
約3㎛の細菌を含む粒子をどれくらいろ過(捕集)できるかを表す
新型コロナウイルスの感染対策として使用するには、「VFE」「PFE」と記載があるものを選びましょう。
また、「VFE99%」「PFE99%」と記載されているマスクは、それらの試験で対象としている粒子を99%捕集できる効果があることを表しています。この数値が高ければ高いだけ、性能がいいマスクということになります。
そのため、「VFE99%」「PFE99%」と記載があるものを選びましょう。
■隙間なくマスクを着用するために「W字折り」をしよう
不織布マスクの多くには、ノーズフィッター(鼻の部分のワイヤー)があります。そのため、マスクをV字に半分に折ってから着用している人も少なくないかと思います。
その折り方をもうひと手間加え、「W字折り」にしてみてください。
「W字折り」することで、より鼻の形にフィットし、マスクと顔の隙間を減らすことができます。
せっかくVFE99%やPFE99%の基準のマスクを購入しても、隙間が多い状態で着用しては、効果が半減してしまいます。
動画にあるような正しい着用方法を実践し、より効果的な感染症対策を心がけましょう。
【参考】
https://www.r-ccs.riken.jp/wp/wp-content/uploads/2021/06/210623tsubokura.pdf
2.【手洗いについて】効果的な手洗いをして、ウイルスを100万分の1にしよう
感染症対策として、マスク着用・手洗いの徹底が呼びかけられていますが、手洗いにどれくらい効果があるかご存じですか?
食事をする前や帰宅直後など、小まめに手洗いをして感染を防ぎましょう。
■30秒の手洗いで、ウイルスの数が1万分の1に減らせます
新型コロナウイルスの感染経路として、接触感染があります。接触感染は、ウイルスが付着したドアノブ、電車のつり革、スマートフォンなどの物を触り、その手で目・鼻・口等の粘膜を触ることで感染することを言います。
そのため接触感染を防ぐために、手洗いが有効です。
手洗いの効果は以下の通りです。
①流水による15秒の手洗い:100分の1
②石けんやハンドソープで10秒もみ洗いし、流水で15秒すすぐ:1万分の1
③②を2回繰り返す:100万分の1
出典:厚労省HP(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000645359.pdf)
■正しい手洗いの方法
この手洗いの効果を得るためには、丁寧な手洗いをする必要があります。
特に指先は、よく物に触れる場所である一方、ウイルスも残りがちのため、以下の手順で丁寧に洗いましょう。
出典:厚労省HP(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000593494.pdf)
■手を洗った後は、マイハンカチで拭きましょう
手を洗った後の濡れた手を、皆さんどうしていますか?
手を振っておしまいの人や、ズボンで拭いてしまっている人、いませんか?
濡れた手は、清潔なタオルや使い捨てのペーパータオルでよく拭き取って乾かすことが重要です。
外出先ではペーパータオルがあるとは限りませんので、ハンカチを携帯するようにしましょう。
また、同居している人がいる場合は、タオルの共用は避けましょう。
3.【手指消毒】アルコールは15~30秒乾かない量を使おう
接触感染を防ぐために、手洗いと同様に大切なことが手指の消毒です。手を洗える時は、丁寧に手を洗うことで十分な感染予防効果があるとされています。
しかし、外出先などでは手を洗えない環境もあります。そういったときにはこまめな手指消毒を心がけましょう。
■スプレータイプなら最後まで押し込みましょう
手指消毒をする際に、アルコール消毒液の量を意識して使っていますか?
コンビニやスーパーの入り口によく設置してあるスプレータイプの消毒液を使用している方を見ていると、十分な量を使用していないように見えます。
手指消毒のために十分な量というのは、スプレータイプの場合、3ml程度といわれています。この3mlとは、以下の写真のようなポンプ式の場合、最後まで押し込んで出てくる量です。
また、丁寧な手洗いの方法のように、手全体に擦り込んで15秒~30秒間乾かない量が目安とされています。
■ジェルタイプなら2プッシュ
ジェルタイプの場合も、15秒~30秒間乾かない量という目安に変わりありません。ただ、スプレータイプより乾きづらいため、使用する量は2ml程度と若干少なめです。
2mlの目安としては、2プッシュです。
携帯用のものや、小さなスプレーボトルに移して使用している方は、「手全体に擦り込んで15秒~30秒乾かない量」を目安にしてください。
最初は意外と多くてびっくりするかもしれませんが、髪を洗う時のシャンプーの量が少なすぎるとちゃんと泡立たないのと一緒で、適切な量を使用しましょう。
■気を付けたいこと①
アルコールでの消毒は、手が汚れていてはあまり意味がありません。
そのため、目に見える汚れがある場合や、帰宅したときは、まず手を洗いましょう。
■気を付けたいこと②
消毒に有効なアルコール(エタノール)の濃度は70%~83%です。これよりも薄まってしまうと消毒効果が薄れてしまいます。
そのため、手を洗った後にアルコール消毒するときには、しっかりと手を乾かしてから使用するようにしましょう。
■気を付けたいこと③
自動で消毒液を噴霧してくれるディスペンサーが設置してある場所も増えてきました。
このディスペンサーは、噴霧量が少ない場合があります。そのため、15~30秒経たずに乾いてしまったときは、もう一度手をかざして消毒液を追加しましょう。
【参考】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html
https://family.saraya.com/tearai/#tearai03
https://www.kenei-pharm.com/medical/countermeasure/handwash/05.php
4.【換気】換気は室内の空気を屋外に出すこと
エアロゾルという言葉を聞いたことがある方は多いかと思いますが、このエアロゾル対策のために換気が有効です。
■エアロゾルは飛沫と違って空気中を長時間漂う
咳やくしゃみ、声を出すことで水分を含んだ飛沫が飛びます。この飛沫は、2mほど飛び、床や地面に落ちていくとされています。
(フィジカルディスタンスが2mと言われている理由です)
それに対してエアロゾルは、飛沫に含まれる水分が蒸発し、ウイルスだけが残った小さな粒子のため、空気中を漂います。
特に、換気ができていない、密閉された空間だと、このエアロゾルが数時間漂い続けます。
■換気をして、エアロゾルを屋外に出そう
このエアロゾルによる感染を防ぐために有効とされているのが、3密を避ける、マスクを着用する、そして換気です。
換気をすると聞くと、新鮮な空気を室内に取り入れるというイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、このエアロゾル対策としての換気は、「室内の空気を屋外に出すこと」が重要です。
■換気の方法①
2か所の窓を開けることで、空気の通り道ができ、換気ができます。
特に対角にある窓を開けると有効です。戸建て住宅や、複数の部屋がある場合は、部屋のドアを開けて、別の部屋の窓を開けることで、家全体の換気がしやすくなります。
また、扇風機がある場合は、扇風機を窓の近くに置き、屋外に向けて使うと、より効果的です。
■換気する頻度
同じ部屋に複数人がいて、会話をしているときなどは、飛沫・エアロゾルが多くなるので、30分に1回程度換気することが推奨されています。
■換気方法②
2003年7月以降に着工された住宅(目安として築17年以内)には、「常時換気設備(24時間換気システム)」が設置されています。
常時換気設備は元々シックハウス症候群の対策で設置されていますが、感染対策にも有効のため、設置されている場合には常時稼働させましょう。
■換気方法③
一人暮らし・下宿生で、ワンルームに住んでいる方で、窓が1か所&常時換気設備が無い方は、窓を開けて、キッチンやお風呂場の換気扇を回すことで、換気しやすくなります。
■エアコンの換気効果は?
家庭用のエアコンは、室内の空気を循環しているだけなので、換気する効果はありません。
一方で、自動車のエアコンは、「外気導入」にすることで、車内と屋外の空気を入れ替えてくれます。
また、風量を強くすることで換気効果は高まるので、風量を“中”以上で使用しましょう。
【参考】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q1-9
https://wwwtb.mlit.go.jp/hokkaido/content/000186839.pdf
この記事を書いた人
IVUSA危機対応研究所 主任研究員 深山 恭介
IVUSA17期卒。関西事務所勤務。 災害救援活動、ロジスティックス、危機対応講習を担当。 プロジェクトでは阿蘇海環境づくり活動、雪原カーニバルなかさと協働活動、インド生活支援活動を担当。
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