まにぼうvol.005 震度とマグニチュードの違いは?【Youth for the Resilience】


三浦「地震が起きると、ニュースでどこを震源としたマグニチュード〇の地震が発生。各地の震度は、震度△どこ、震度▽どこ・・・、と流れるけど、どうして震度とマグニチュード二つの情報があるんですか」


宮﨑「“被害の規模や程度を予測するために必要な情報”が、この二つなんだ。マグニチュードは地震のエネルギーの大きさを表しているから一つしかないけど、震度は揺れの大きさを表すから、震源から離れたり地盤によって小さくなっていくことはわかるよね」


三浦「はい、なので、被害の規模や程度を予測するためだったら、揺れの大きさである震度だけで建物被害など予測できると思うのですが」


宮﨑「では、エネルギーの大きな地震が発生したけど、震源が海で、遠かったせいか震度は大きくなかった。この場合は・・・」


三浦「津波ですね!」


宮﨑「そうだね。例えとして古いんだけど、チリ地震というマグニチュード9.5の超巨大地震が南米チリ沖で1960年に起きたとき、なんと20時間後に5メートルを超す大津波が三陸地方を襲って岩手県、宮城県を中心に死者行方不明者142人の大きな被害が出たんだ」


三浦「山元町の方々からも聞いたことがありました。海が引いて行って、津波が来るってわかったと」


宮﨑「津波の到達を知ったのが、潮位がおかしいという情報を受けてからで、津波警報の発表が第一波到達後になったんだ。この教訓から、国際的な太平洋津波警報組織が整備されたり、海外での津波観測値などをもとに、到達予測時間の数時間前に津波警報が発令できるようになるなど、格段に予測技術が上がっているね」


三浦「地震の規模や被害の有無を予測するうえでも、地震の揺れである震度と、エネルギーであるマグニチュード、両方から推測する必要があるんですね。ところで、震度ってどうして7が一番大きいんですか」


宮﨑「理屈上7以上はあるけど、これまで計測震度7.0以上を観測した例がないことと、震度は被災地域の被害予測に使われるほかに、関係機関の初動対応体制への移行のアラートの役目もある。例えば震度5弱で緊急参集要員が集合とか、6弱で内閣危機管理センター要員の招集とか。震度7の地域が出た時点で最大級の防災対応や防災行動はとられるため、震度7以上を分割設定しても意味がないとも言われている」


三浦「震度7が計測された時点で最大級の揺れ被害が出ていると考えていいんですね。確かにこれまで震度7が記録された地震は阪神・淡路大震災、中越地震、東日本大震災、熊本地震、北海道胆振東部地震と、どれも近年だし特に大きな被害が出た地震災害でしたね。あと、どうして震度5と6だけ弱、強があるんですか?」


宮﨑「信じがたいと思うんだけど、昔は体感で震度を決めていたんだ。あと、観測地点も少なかった。 1996年に体感による観測を全廃して震度計による観測に完全移行したんだけど、その時に、これまで震度5以上の時の被害状況に差があるということで、5弱と5強、6弱と6強に分割し、震度0~7までの10段階になったんだ。 それぞれ計測震度が0.5未満が震度0、0.5以上1.5未満が震度1と1.0ずつ大きくなり、4.5以上5.0未満が震度5弱、5.0以上5.5未満が震度5強と0.5ずつ大きくなり、6.5以上は震度7と・・・」 


三浦「ちょっと難しい話になってきたので、、、 つまり今は自動計測になり、さらに震度観測点が増えて精度が高まったことで震度7を記録する地点が見つけやすくなったためで、昔から震度7の揺れは起きていた。昔の地震災害との比較はマグニチュードで行えば、近年の地震が特別大きいわけじゃないことがわかると」 


宮﨑「そうだね、だから地震の大きさを判断するのにマグニチュードも必要ということだね。ちなみに、マグニチュードは1大きくなると約32倍地震のエネルギーが大きくなる」


三浦「ということは中越地震クラスと比べたら、東日本大震災は1,000倍の地震エネルギーということですか」  


宮﨑「それと、地震というのは岩盤が割れていくことで起きるけど、マグニチュードからおおよその被害範囲が予測できるんだ。それは揺れの長さにも関係するんだ。 マグニチュード7だと約10秒から15秒、マグニチュード8だと約1分、マグニチュード9だと約3分、強い揺れが続く。岩盤が割れるスピードは秒速3㎞なので、震源からの震源域、つまり揺れが強い範囲はマグニチュード7で約30キロメートル、マグニチュード8で約180キロメートル程度、マグニチュード9で約500キロメートルの縦長の楕円形となる」


三浦「つまり、海沿いにいて1分近く強い揺れを感じたら近くで巨大地震が発生したということですね。警報などを待たずに高台に避難しないと、すぐに津波が襲来する可能性が高いということですね。 震度とマグニチュードを理解すると地震情報からどのくらいの範囲と規模でどんな被害が出てしまいそうなのかがイメージできるんですね」 




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地域密着型災害救援家

北海道南西沖地震以降の国内、国外の災害現場において救援・復旧・復興活動を行うNPO法人国際ボランティア学生協会理事。
昨年度までに、33都道府県86市区町村、計233回の活動を行い、延べ11,120人の若い力で被災地での家屋の片づけや泥の撤去、避難所支援などを実施。
平時には、地域防災や危機対応に関する講演やワークショップの運営、応急救命講習の普及に努めている。
国士舘大学防災・救急救助総合研究所非常勤研究員、世田谷区防災会議専門部会員、ちよだボランティアセンター運営委員、せたがや防災NPOアクション代表、IVUSA危機対応研究所所長、その他災害VC運営委員、災害NPOネットワークメンバー等

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