組織マネジメント入門Vol.007 コロナ禍の“しんどい”を乗り越えよう②~自助・互助・公助~

■4つの助

菅総理が就任するにあたって政策理念として掲げたことから、にわかに「自助・共助・公助」という言葉にスポットが当たりました。 

この言葉のセット、実は特に社会保障分野においては「自助・互助・共助・公助」という4つの助から成っています。 


ちなみに「“お互い”と“共に”ってちょっと似ているから同じなのでは?」と思えてしまう “互助”と“共助”については、 

互助…相互に支え合うこと 

共助…介護保険などリスクを共有する仲間の負担 

と、例えば厚生労働省発行の下記資料では説明されています。

 (資料下部の図がけっこうわかりやすいのでぜひご覧ください) 


▼地域包括ケアシステムの5つの構成要素と「自助・互助・共助・公助」(厚生労働省、平成25年3月地域包括ケア研究会報告書より) https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/dl/link1-3.pdf


■コロナ禍“しんどい”と“助” 

コロナ禍で世界中の人々が同時に苦難に見舞われている今。

感染症という特質もあり、人と関わることが制限され、オンライン化はコミュニケーションの“勝手”を変えてしまいました。 


それが個人に、そして社会に及ぼしうる影響ははかり知れませんが、そうした状況にいるからこそ、今一度、自分が自分(自助)に、他者に対して(互助)、できることを見直してみることは、“しんどい”かもしれない今を、より良く乗り越えていくヒントになるかも! 


ということで、  

まずは、“しんどい”を取り巻く「自分が何をするか」「互いに何をするか(どう助け合うか)」「公(例えば会社など)は何をするか」について整理してみたいと思います。 


例えば会社等におけるメンタルヘルスケアにおいても、同じような枠組みでの取り組みによって不調を予防し、より活き活きと働くことができる職場とする仕組みが取られています。 

学生の皆さんが今、職場を持っているということではありませんが、組織内のメンタルヘルスケアにおいても、考え方が参考になると思いますので紹介します◎ 




これは労働安全衛生法第70条の2に基づいて、厚生労働大臣が定めた「労働者の心の健康の保持増進のための指針」によるもので、つまり企業に対して出した指針であるため、基本的にはその構成員である社員に対してのみタッチする枠組み。


なので、個人的関係も含む互助領域の記載はないと考えられますが、自分では自覚していない“しんどい”を見つけてもらったり、話を聞いてもらうことでちょっと楽になったりと、人と人とのつながりを持ちながら生きている私たちにとっては“互助”もまた、とても大切な要素です。 


なお、基本的には【自助】が最も重要であり、そのサポートとしてストレスチェックが義務化されて本人の気づきを促進できるようにしたり、本人の意向を尊重した上で他のケアが行われるようにしたりするもの。


考えてみれば当たり前で、自分の心は自分にしか(自分にも見えない時もありますが)分からないもの

…とすれば、自分で気づいて自分ができる対処をする。
自分だけでは解決できない事柄は、他者を動かして変化を促し対処をする。
公たる上司や企業は、そうした対処がなされる環境をつくること、サポートをすることが主戦場となるというのもうなずける部分ではないでしょうか。 


「じゃあどうしたら…」については、下記のようなポイントで、別の記事にて触れていきたいと思います。


▼自助:一番大事って言われてもどうすればいいの!!ストレスとその対処方法を考えてみよう

▼互助:互いに助け合うにはどうしたら??カウンセリングスキルに学ぶ役立つポイント 



■さいごに 

「完全なる『自立』とは完全なる『相互依存』のことである」 


日本人初の国連難民高等弁務官などを務められてきて、昨年亡くなられた緒方貞子さんの言葉ですが、この言葉は国際関係的なことのみならず、個人の在り方にも示唆を含むものに感じます。 


互いに切っても切り切れない関係性を持つ中で、 

「自分が何をするか」 

「互いに何をするか(どう助け合うか)」 

「公(例えば会社なども)は何をするか」 

それぞれができる領分を持ちながら、相互に関係しあって生きていること。  


そうした社会システムのようなものへの理解もまた、「自分だけのせいにして苦しまない」「他の誰かだけのせいにして苦しまない」「組織だけのせいにして苦しまない」ということによって、“しんどい”を乗り越える一つの道しるべになるかもしれません。  


この記事を書いた人 

IVUSA事務局大坪英里奈 

IVUSA17期卒で関西事務所勤務。子どもの教育支援事業や新潟県関川村・三重県熊野市での地域活性化活動を担当。プロジェクト・組織マネジメントでの業務分野としては“アド”をこっそり担当しつつ、学生組織運営のサポートもしている。実は、トレーニングを受けたカウンセラーだったりする。 

(写真:プロジェクト帰りに学生たちがプレゼントしてくれたバースデーケーキとともに) 

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