新型コロナウイルスの影響で、対面型のボランティア活動が難しくなっていますが、中でも宿泊を伴ったワークキャンプ型の活動はIVUSAも3月以降実施できていません。再開するタイミングを現在、探っています。
そこで、ワークキャンプ団体の「先輩」であり、小規模の国内ワークキャンプを先駆けて再開された特定非営利活動法人 NICE(日本国際ワークキャンプセンター)のスタッフの太宰茉里さんにお話をお伺いしました。
太宰さんは8月20日から26日まで長野県小谷村でワークキャンプのリーダーをされていました。
Q.今回はどんな人がワークキャンプに参加されたのですか?
私入れて8人で、内訳は高校生3人、大学生2人、社会人3人です。
特徴なのは高校生が多かったこと。彼らは部活動も全部できなくなり、「このままでは家にいるだけで高校生活が終わってしまう」とモヤモヤしていたそうです。親御さんの反対もありませんでした。
社会人の中には、コロナで有給が取れたので自分の生活を見直すためにも、自分が食べるものを調達することに関心があったから参加した人がいました。
全体的にコロナがなかったら参加しなかった人が多かったですね。コロナだからこそオフラインの活動を強く求めているということがよく分かりました。
Q.具体的な活動を教えてください
受け入れ先は真木共働学舎というところです。『アラヤシキの住人たち』というドキュメンタリー映画にもなったのですが、車も通れない山道を2時間くらい歩いていった場所にあります。
▼映画ウェブサイト
農業を学びたい人、今の世の中の流れが早すぎてついていけない人、障がいを持った人などが共同生活をしています。
ここはほぼ産業革命以前の暮らしで、基本的に自給自足です。具体的には農作業を中心に、水を引きろ過する装置の掃除、かやぶき屋根(藁ぶき屋根の家です)の修理などの活動をしました。
参加者の感想としては、「自粛が続いて、人と会う機会がなくなっていたので、人と暮らす暖かさを感じた」「自分が食べているものがどうやってできているかが知れて、自分の生活をもう少しゆったりさせようと思った」等が多かったです。
参加者の満足度はいつもよりずっと高かったですね。印象的だったのは、「ここにいるとコロナを忘れられる」という参加者の言葉でした。
Q.新型コロナウイルス対策ではどのようなことをしましたか?
マニュアルの整備や参加者の検温などはしました。ただ、ワークキャンプの性質上、ソーシャルディスタンスを保つのは結構難しいですね。幸い、今のところ参加者で感染した人はいません。
Q.ワークキャンプを再開するかどうかはどのように判断されましたか?
現地から断りがあったものは当然実施できないのですが、受け入れOKとなった場合どうするかを議論しました。 全面的に中止すべきであるという意見もあったのですが、いつから再開できるかの目途がつかないし、いつやってもリスクは存在するということで、対策をした上で小規模なものを再開すると決定しました。人数に関しては現地のニーズ次第です。
Q.今後の見通しについて教えてください
私たちとしては、オンラインでの交流をワークキャンプの代替にしていくことはしないと考えています。オフラインでのワークキャンプを続けるために今できることをする、今をしのぎ切るという感じですね。ちなみに今、よりリスクが低いと考えられる中長期のワークキャンプに対する問い合わせが多くなっています。
あと、キャンプ参加者に聞くと、「NICEだから大丈夫だと思って参加した」という人が結構多かったです。NICEとしてはあくまで自己責任で参加してもらっているのですが、団体としても感染症対策に万全を期すとともに、責任の所在を明確にしていく必要もあると感じています。
ありがとうございました。
この記事を書いた人
理事・事務局員 伊藤 章
IVUSAの中では管理業務一般と、広報や社会理解学習のプログラム作りをする係。最近は、海ゴミ問題のキャンペーン「Youth for the Blue」も担当
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